47 / 73

第48話

社に戻ると、数人の社員とすれ違う。正社員、派遣、契約と立場も違うせいなのか、はたまたIT系だからなのか、ラフな服装も多い。 「お疲れ様でーす」 「お疲れ様です」 女子の香水のかおりに頬を緩めていると、塚本が言った。 「女も好きなのか、気が多いものだ」 「好きになった人がタイプ、ってゆうのかな」 「敬語を使ってくれ、とくに社内では」 「です」 塚本がやれやれといった身ぶりをする。 しばらく歩いて、社長室というにはモダンな個室にはいると窓の外を少し見てから言った。 「?」 「気が変わった。飲みに行く」 「え?急にそんなの」 「これも会社の一貫だろう?上司には従う、そういうものだよ」 「・・・」 有無をいわさない雰囲気に首をかしげる。 寂しいって訳じゃなさそうだけど 優に遅くなるっていわないと 気が進まないが仕方ない。 「俺あんま飲めないけど…」 「構わないよ…そうだ、これを明日は着てくるといい。何枚かみつくろっておいた」 「服?」 紙袋の中には、上質な素材のジャケットやパンツ、スーツなどの服が入っている。 「いいって、払えないし」 「いらないよ。制服だと思ってくれていい一一連れてあるく人間が安物のスーツでは格好がつかないんだ」 「一一ありがと」 長身の彼を上目遣いにうかがうと、微笑んでいた。 何考えてるんだろ 瞳の奥からはなにも読み取れなかった。
いいね
笑った
萌えた
切ない
エロい
尊い

ともだちとシェアしよう!