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第13話

そしてやってきた約束当日。 待ち合わせは駅前に貼ってあるポスターの前。 その場所に行くとなんだかたくさんの人がいた。 そこにいるほとんどは小さくて可愛らしい女の子だけど、その中心の壁に寄りかかってスマホを見ている人はスラッと身長が高くて頭が飛び出ていた。 「神崎さん…だよね」 その光景をみて早くも溜息をつきそうになる。 今からあの群れの中に行くんだ…。 もはや帰りたい、けど帰れない。 どうしようかとうろうろしていると神崎さんからLINEが届いた。 『おはよう、そろそろ着くかな?』 そんなメッセージに胸がドキドキと緊張した。 『ごめんなさい。あと少しで着きそうです』 『俺もまだ着いてないからゆっくりで大丈夫だよ』 嘘、もう着いてるのに…。 イケメンでかっこ良いと女子に騒がれる男はこういうところが違うのかもしれない…。 佐奈だったら『もう着いてるよ』なんて返事をしているだろう。 「あ、羽田くん!」 もやもやとそんなことを考えていると向こうから神崎さんが爽やかな笑顔で手を振って近づいてきた。 「遅れちゃってごめんなさい、今日はよろしくお願いします!」 「大丈夫大丈夫、行こっか」 神崎さんは俺の歩幅に合わせて駅のホームへと向かってくれた。 案外…っていうか予想通り優しい人だな。 「乗り物酔いとか大丈夫かな?」 「あ、大丈夫です」 「良かった。じゃあ電車に乗るね」 その言葉に頷いてみせると彼も柔らかい笑みを返して切符を渡してくれた。 慌ててそれを受け取りお礼を言う。 神崎さんは神崎有真なのだろうか、 ていうか神崎有真って電車乗るのかな…… 「……もしかして今日調子悪い、かな?」 そんな神崎さんの言葉にハッとして顔を上げると彼の心配そうに顔を覗きこんでいる表情が見えた。
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