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第14話

「俺、無理させちゃってる?」 「大丈夫ですっ!なんでもないんで!」 「そう?それなら良かった」 丁度やってきた電車に乗り込むと車内は良い具合に混雑していて身動きが取りづらい程度だった。 …ぎゅうぎゅう、嫌だなぁ 「羽田くん、こっち」 そんなことを思っていると神崎さんに体を引かれてスペースのある隅の方に移動させてくれた。 なんて優しいんだこの人……! 「わ、ありがとうございます!」 「いえいえ、当然のことだよ」 お礼を言ってペコッと軽く頭を下げると神崎さんはニコリとした素晴らしい笑顔で微笑みをかえしてくれた。 さっきよりは楽な位置だけど、神崎さんには守られるような形で密着する面積が大きい。 そして周りの人からじーっと見つめられるような視線が刺さるように痛い。 俺が目を逸らしているから気が付かないとでも思ってんのか? 気づいてるぞ!!!! ……無駄に恥ずかしい…。 「次で降りるからね」 「あ、はい」 恥ずかしさからもやもやしている佐奈とは全く反対に神崎の優しい声が佐奈の耳に届いた。 まぁいいか、もう少しで着くからそれまでの辛抱だ…と、そう自分に言い聞かせて周りの視線から逃れるように少しだけ目を閉じた。
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