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初めての作品②

「あの、初めまして。俺、満って言います」 満は礼儀正しくて、当たり前のようにペコリと要に頭を下げた。慌てて要も頭を下げる。 下げた頭を上げて、満をよく見ながらやっぱり借金を持つようには見えないと思ってしまう。 ほんわかしていて、礼儀正しくて。きっと優等生タイプ。 そんな人が借金? そう思っていることが顔に出ていたのだろう。満がおかしそうに笑っていた。 「もしかして監督さんは、俺が借金をするようには見えないって思ってるんですか?」 「ひぇっ!ま、まぁ」 「ま、俺もそう思っていたんですけどね、」 満は要から視線をそらすと、語り始めた。自分が借金を背負った理由を。 簡単に言えば、間違えたのだ。 彼女にフラれ、自暴自棄になっていた。その時たまたま通ったホストクラブは男でも入店可能で。冗談半分で入店したら、まぁ楽しかった。その時だ。安い酒を頼んだつもりが、間違えてその店で1番高い酒を頼んでいた。 その酒代を払うために借金をした。 「え?」 「それでね、バカらしくて手っ取り早く借金を返そうと。ホストクラブ行ってた時から、男に抱かれてみたい願望がちょっとあったからさ」 そう言って照れくさそうに笑う満を、要は少し引きながら見ていた。志摩的ツボに入る理由だったらしく、ゲラゲラと笑っていた。 「いやぁ、いつ聞いても満ちゃんのこの世界に入った理由、やっぱり面白いわぁ」 「これが、面白いんですか?」 要からしたら、ただの“バカ”なのだ。 頼む酒を間違えるなど言語道断。しかも、男に抱かれてみたいからこの世界に入ったと満は言う。そんなんだったら、味方になんてならなくてもいいんじゃないかと要は思っていた。 でも、満の手が微かに震えているのが見えた。抱かれてみたいとか言っても、本当は怖いんだ。でもそれを悟られないように、満は気を張っている。 それを見てしまった要は、気づけば満の手を握っていた。 「大丈夫ですよ、満さん」 「え?」 「企画書に書いてある通り、挿入なしだそうですから」 とっさに、その言葉が出ていた。挿入なしとかそんなことではなくて、ただ頑張ってくださいと挨拶がしたかった。 でも、満的には挿入なしというのが嬉しかったらしく。さっきから、要に抱きついてワンワン泣いていた。 「志摩さんからの説明、ちゃんと聞いてなかったのかよ」 「ぎいでないでしゅ、」 泣きながら聞いてないと言い張る満に、志摩もさすがに引いていた。
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