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〇の刺客 22

『おはようございます。失礼します!』  突然スピ―カ―越しに声が響き、分厚いガラス窓で仕切られた向こう側に、ぞろぞろと生徒たちが入ってきた。 夕方だというのに皆一様に「おはようございます」を繰り返す。 「なんか声優科の人らって独特だよな」  宮がぽつんと言った一言に、ぜんジロが大きく頷いている。 「無駄に声がでかい」 「し―っ!」 「し―っ!」  円が同意した直後、またしても両サイドからきれいなユニゾンが舞った。 こいつら……。 「こっちの声は聞こえてねえし」 「あ……そっか」  スタジオ内は録音ブ―スとコントロ―ルル―ムの二部屋に別れているため、こちら側の声は専用機材を使わない限り届かない。 指示がある際はト―クボタンを押して話しかけるしかないのだ。
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