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第6話

 ◇  あ、また一人でいる。    放課後、入江海は帰り際に図書室へと向かう宇都宮の背中を見つけた。帰りのホームルームではいつも通りピリピリとしていて生徒を脅して掃除までさせていたのに。また痩せた気がする、制服を着ていたら生徒と紛れてわからないだろう。あの背中をしてまたかのアルファに抱かれるのだろうか。女の肩を抱いていた、アルファ。あんな男のどこがいいのだろう。アルファなんてどこにだっているじゃないか、それは入江海自身のこと。自分とあの男の違いがわからない、ねえ先生、僕もね……。 ”アルファですよ” 「入江」  宇都宮結良が振り向いた、まるでずっと海の視線に気がついていたかのように。 「なんですかー、先生」 「授業をサボるな」 「大丈夫、二度目の春なんで授業に遅れはとりません」  宇都宮はなにかまだ言いたそうな顔をして、けれど黙って目をそらす。前髪の隙間、まるで少女のような大きな目をしている。意外とかわいいじゃないか、先生。
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