21 / 24

第21話

 ◇ 「はぁーい、あれ、どなたですかぁ?」  入江海の面影を残したのは体格の良く長い髪を横に流した女性。 「あの、海くんの担任の……」 「ああー、海の学校の先生! 姉ですぅ、はじめまして」  姉と名乗った彼女は海と同じ顔をして笑う。確かにその表情は姉弟そのものだ。 「学校の件でしょ? それが海、部屋から出てこなくなっちゃって」 「え?」  そのとき奥の部屋からなにかガラスの割れたような破砕音が響く。姉は眉をひそめてため息を。 「やだ、海またやってる……」  これは尋常ではない、慌てて結良は部屋にあがり、その破砕音がしたドアを開けた。 「あ……先生? なんで来たの……」  いつもの彼の顔じゃない。乱れた髪の汗で張り付いた額は眉を寄せてゆがみ、その目はここではないどこかを見て怯えている。そして再び手にもっていたコップを壁に投げつけ床には細かな破片が散った。 「くるな、くるなあ!」
いいね
笑った
萌えた
切ない
エロい
尊い

ともだちとシェアしよう!