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夢の続きの話をしよう《5》

「俺個人で言えば、……良いように決着をつけてほしいと思ってる」 「分かってる」 「おまえの思う良い決着と折原の思っている良い決着が一緒だとは限らないぞ」 「そんなもん、おまえ、毎回毎回女と別れる時に理由合致させて終わらせてんのかよ」  と反論したはいいが、きっとこいつはそうしているんだろうなと思ってしまって、取り消したくなった。  案の定富原は真顔で「当たり前だろう」と肯定しやがるし。 「お互いが違う理想を持っているなら、話し合って折り合いをつけるしかないだろう。片一方の言い分を強硬に押し付けて呑みこませるのは、決着とは言わないし、話し合うことが出来ない年じゃないだろう」  ――でも、それが現実と、一時の頑なさに陥ってしまう感情との折り合いだとしたら。現実に沿わせようと考えるのは、当たり前じゃないか、と。そう思うのに。 「佐野。なにを怖がってる」  問い詰める、と言うよりかは宥め諭すような声だった。 「あいつも、いつまでも子どもじゃないぞ」  そんなこと、分かってる。知っている。でも、だから。 「子どもじゃねぇから、駄目なんだよ」  怖い。たぶんその表現は一片たりとも間違っていない。俺は、怖い。  なのに動くことが、できなくなりそうだった。  今の停滞している状況は、たまらなく穏やかで。選び取ることを、先延ばしにしてしまいそうだった。  折原の為に、と最初は確かに思っていたはずなのに、いつのまにか自分の欲望を優先してしまっている気がする。折原が目を覚ますまではいいんじゃないかと。そんなことを思うようになってしまっている。  俺は、そんな自分が、一番怖い。
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