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第408話 溢れる愛の時間
「白……兎……っすご……」
「あ、あ……っ紅羽……っんん!」
もうお互い、我慢なんて出来なくて。
紅羽の昂りは、あっという間に俺の中へと収まっていった。荒い息をつきながら、甘く見つめ合うと、想いが全て通じ合ったかのような感覚に陥る。
「入った……一つに、なれたね」
「うん……」
ここ半月以上、ずっと紅羽を求めて辛かった俺からしてみれば、今のこの状況はまさに幸福そのものでしかない。
俺はこれが現実だという証が欲しくて、紅羽の体温を確かめるように、背中に手を回してぎゅうっと抱き締めた。
「白兎君……?」
「……あったかい、紅羽……ホントに、繋がってるんだよね……」
「ん……そうだよ。ほら……」
「あっ……や……っ」
証拠とばかりに、紅羽は僅かにモノを引き抜くと、ズン、と俺の最奥を甘く突いた。
「ああっ、あ!」
「ん……っ気持ちい……ね……白兎……」
気持ちよさで視界が滲み、体中が熱くなる。潤んだ瞳で息を乱しながら見上げると、妖艶な光を宿した紅羽の目に捉えられ、ぐっと顔が近づいて唇を奪われる。
「ふ、ん……っは、はぁっ」
「白兎……白兎……好きだ……」
熱に浮かされたように言いながら、紅羽は更に腰元をゆるゆると動かして、昂りを引き抜いたり、また挿れたりを繰り返す。
「うぁ……っやぁ……あ、も、らめ……っ」
グチュグチュと淫猥な音が響き、パン、パン、
と肌のぶつかる音が聞こえてくると、なんだか物凄く恥ずかしくなる。けれどそれに反して、体はどんどん気持ち良くなっていき、腰は勝手にガクガクと揺れ始める。
「やぁっ、ん、くれ、は……っも、らめ……っきもちい……ぃ」
「は……っ俺も、ダメ、だ……中に、出すよ……っ」
「うん……っ出して……あ、あああっ……」
瞬間、ピストンが急速に速められ、紅羽の雁首が俺のいいところを集中的に擦りあげていく。快楽の波が押し寄せ、俺の中心はもう限界と張り詰め、揺さぶられながら先走りを飛び散らせる。
「ん……っ白兎……!」
「あ、あ……紅羽……も、だめ……っやぁあっ!」
気持ちいい一点は容赦なく擦りあげられ、再び最奥をズンと突かれた、その瞬間。
腹の中には暖かさがじんわりと広がり、俺の自身は先端から溜まりに溜まった欲望を一気に吐き出した。
「はぁ……っ、は、はぁ……っ」
「う……んぁ……っ白兎……」
「ん、は……っあ……」
息を乱したまま、強引に口付けられる。互いに熱くなった体を密着させて、温度を確かめ合うと、幸せで胸が苦しくなる程だ。俺はこの時間が一秒でも長く続いて欲しくて、紅羽の背中を何度も手のひらで撫でて肌の感触を味わった。
「は……紅羽……すごい、気持ち良かった……」
どちらからともなく唇が離れると、俺は眠気と幸福感でトロンとしながら、僅かに掠れた声で言った。
「ん、俺も……」
紅羽は俺を優しく抱き寄せると、頬に手を添えて軽く上向かせ、チュッとキスを落とす。そして更に、耳元に唇を寄せて僅かに口を開いた。
「もっと、したい」
「……っ」
色っぽい声で囁かれ、俺は肩を揺らして胸をときめかせる。もっと……俺だってしたい、けど……。
「お、俺も、したいけど……っもう、落ちそう……」
正直なところ、一気に精を放出したのと、紅羽と触れ合えた安心感で、かなり強い眠気が俺を襲ってきている。これでもう一度体を重ねたら、間違いなく途中で寝落ちしてしまいそうだ。
無理にするのも違うだろうと思い伝えると、紅羽はクスリと笑みを漏らして、俺の髪を指先でそっと鋤いた。
「いいよ、残念だけど……可愛い弟に無理はさせられないから、ね」
「ん……」
髪を鋤かれるのが気持ち良くて、俺は自然と目を閉じる。サラ、サラ……と、長い指先に髪を鋤かれ……少しすると、ふわりと唇を奪われた。
「……おやすみ、白兎」
「ん……紅羽…………」
本当はまだ眠らずに紅羽と愛を囁き合いたいけれど、それは叶いそうにないので……俺は遠退く意識の中で、小さく想いを口にした。
「すき…………」
すると、耳元で紅羽の低い声が響いてくる。
「俺も…………」
眠りに落ちる寸前で、紅羽の声が遠くに聞こえる―― "俺も、好きだよ" と。
(良かった…………)
紅羽の気持ちを確認すると、俺は温かな腕の中で、久しぶりに安心して眠りについた。
まだ記憶を取り戻すという課題は残されているけれど、きっとこれで一歩前進出来ただろうし、何より、紅羽が最終的には落ち着いて状況を受け入れてくれたので、それは本当に良かった。
(紅羽…………)
俺は翌日の朝まで、紅羽の腕の中で、紅羽との甘い夢を見ながらスヤスヤと眠り続けた。
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