2 / 68

◇2◇

「お、おい……どうなってんだよ……俺はこんな赤い薔薇の花束なんて注文してねえぞ……っ……」 「申し訳ございません……ですが、そう申されましても――こちらは……花屋から届いたものをお部屋まで運んできただけでして……確かに、関谷様は此方の赤い花束を注文されたと伺っていたのですが……」 「……っ……何だよ、その態度は――じゃあ、今すぐその花屋に電話して俺から注文をとって間違えたヤツに此処に直接来るように言いやがれ……俺は●●会社の社長だぞ!!」 「か、畏まりました……そのように致しますので少々お待ちくださいませっ……」 ――そうだった……このようにホテルの従業員に醜く吠えまくる豚みたいな男でも●●という大企業の社長という肩書きがあるのだから、やっぱり滑稽だよな~……と彼らのやり取りをボンヤリと見つめながら、俺は出来るだけ素早く薔薇の花束をゴミ箱へと放り投げた。 (ちょっと、勿体ないかも……まあ、でもこんな毒みてえな花束を俺の目に触れさせるヤツの方が悪いんだから――仕方ないよな~……) 「ごめんね~……乙哉たん、不愉快な思いさせちゃって……でも代わりに、俺が乙哉たんを不愉快にされたバカな花屋を、うんと叱ってあげるからね~」 「うんっ……ありがとう、さすが●●会社の社長さん……頼りになる~……乙哉、社長さんの事だーい好きだよ♪」 (社長さんの事……じゃなくて、正確には社長さんの金がだけどな――) と、心の中で毒を吐きつつ――ぎゅーっと豚のようにでかいヤツの体を抱き締めしめ甘え声を出しながら俺はこれから此処に来るであろう、おっちょこちょいで哀れな花屋の人物はどんなヤツなのだろうかと心の中でボンヤリと考えるのだった。
いいね
笑った
萌えた
切ない
エロい
尊い

ともだちとシェアしよう!