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第36話 衝撃(瀬戸冬馬)

 ◇  うとうととしているとパトカーの音で目が覚めた。カーテンをあければ救急車まで。警察に連れられているのは柄の悪い男たち。そのなかの金髪を見て、晴翔のことを思い急に不安になった。  様子を見に行こうと服を整えていると、大家のおばさんがおれの部屋のドアを激しくノックする。 「あの、なんですか」 「た、大変よ、冬馬くん! あの……」 「え」  慌てて駆け出すもひどく足が重く転びそうになる。おばさんに手を引かれ、救急隊員の輪に頭を入れてのぞき込む。血だらけの顔、ひどく腫れて息をするのも精いっぱい。 「ああ、あ、晴翔……!」  ◇ 「落ち着けってのー、全くよぉ」  病院で日暮れを迎えた。絡まれた挙げ句の晴翔の傷は痛々しく、変わってやれない己が憎い。そう晴翔に告げると馬鹿だな、と言って彼は弱く笑った。  治療された顔をして二人帰宅の途へとつく。その途中のタクシーの中でぽつりと晴翔が呟いた。 「晴翔?」 「いや、そういうことじゃないんだなって思って」 「何が」 「……強いってこと」  いまいち真意をつかめないでいると、晴翔はふと窓の外を見る。夜のとばり、幼い晴翔の横顔がだぶる。 「俺、そろそろ金髪やめよっかなって。あんただって言ってたじゃん、黒髪似合うかな? もう何年も染め続けてなんか疲れたし」  もう虚勢を張らなくても強くなれた? そう問いたかったのだろうか。 「良いんじゃない? きっといまより似合うと思うよ」  それきり二人、会話をやめて静かにひっそりと手を繋いだ。大きな手、抵抗したときに出来たのかそこは擦り傷でいっぱいだったけれど。

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