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第6話

「おはようございます椚田様。足の怪我の具合はいかがですか?」  翌朝。またまた二人は遭遇した。 「あ、おはよう…ちょっとマシになったけど、昨日風呂入ったらとれてもて」  足を上げると、昨日佐倉が施した包帯が綺麗になくなっていた。 「ではこれからまた医務室へ参りましょうか?」 「うん、お願い」  やけに素直で可愛いな、なんて一瞬頭を掠め、佐倉は自分で驚いた。 どこが可愛いんだ、どこが! ごくごく普通に普通の成人男性だろ。  また昨日と同じように、涼司が椅子に座り、その向かいに佐倉か傅きそっと足を手に取る。 「失礼いたします」  なんか昨日より近い気がするな、 涼司はこの淫靡な光景を見ながらそんな風に思った。 涼司の視点からは、股座に佐倉が割り入って、片足を持ち上げているように映っている。  そのまま股間に顔埋めてくれへんかなー  ってエロっ! 何考えてんねん! それもホテルの従業員相手になんちゅうことを…!  一人で赤面する涼司。  大の男の足の裏が目の前にあるのは、あまり気持ちのいいものではない。 傷はかなり回復しているが、要望通り包帯は巻いておこう。  ーー今ここで、この指を咥え込んでやったら、どんな顔するだろう。  おいおいおい。 お客様相手に何考えてるんだ? 落ち着け、こいつは美しくもなければ少年でもない。 「…はい、終わりました」 「ありがとう」 「椚田様は、明日までご滞在でしたね」 「あ、はい」 「それまでに良くなればよいのですが。 お帰りまでごゆっくりお寛ぎ下さい」  にこりと一礼して、道を譲った。  明日までか。 ? この一抹の寂しさは何だ。 まあ、この非日常のバカンスに別れを告げ、リアルな日常に戻るのは確かに寂しい。 うん、そういうことだ。 …明日までか。 どうしても、モヤモヤが引っかかる。
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