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『驚いた?』 「……………そりゃ」  チナツちゃんが甘い物好きだってことや、都内のパンケーキ屋を制覇したこと、納豆が苦手だってこと、黒いチワワを飼っていること、休日は井之頭公園へ散歩に行ってること。そんな何でもないエピソードから、チナツちゃんの年齢や雰囲気を想像して、勝手に思い描いたチナツちゃん像にニヤニヤとして―――。  けれど、やっぱり文字だけでは限界があるんだ。  こんなに身近に感じていても、なんの隔たりもなく話していても、いちばん大事なことが欠けている。 「チナツちゃん」  俺は一呼吸を置いて問いかけた。 「今日はカメラ通話に変えてもいい?」 『え?』 「俺、やっぱ、字打つの遅いし。ちゃんと、チナツちゃんの顔を見て話したい。その方が会話もスムーズにいくと思うんだ」  チナツちゃんは黙った。 『うん、いいよ』 「どうすればいい?」 『右下にカメラのマークあるでしょ。そこを押してみて。そしたら、画面が映像に切り替わるから』 「……………うん」  ゴクンと息を飲み、ノートパソコンのタッチパッドに指を添え、震える矢印でカメラマークのボタンをゆっくりとクリックした。
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