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第14話

 夕食は魚の煮付け、はるゆきさんの嫌いなものではないはずなのにどうも箸が進まない。そのままごちそうさまでは、すぐにまたお腹が空いてしまうだろう。 「はるゆきさん? 今日のお魚は美味しくありませんか」 「違うよ」 「箸進みませんねぇ……」  彼は少しのため息をついて箸をそっと魚に伸ばす、その瞬間だった。  音をたてて床に転がる箸、彼は右腕をさすっている。 「はるゆきさん……」 「すまない、大丈夫だ」  これをして、彼のどこが大丈夫だと言うのか。 「もう、はるゆきさん……ご飯くらいね、僕がいくらでも食べさせてあげますよ」 「……みつば」  泣いたらいけない、いま僕が泣くなんて。  心から本当にいま泣きたいのは僕じゃなくてはるゆきさんのほうなんだから……。  

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