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第28話 12、素直に反応します

「ジル! ジル、大丈夫?」  カタカタと小さく震えるジルを抱き上げ、ソファーに座る。ぎゅううっとジルが抱き着いてくる。 「リヒト、リヒト……」 「大丈夫。もう心配はいらないよ。離れてごめんね。一緒にいればよかった」  リヒトは心からそう思った。  俺がジルの傍を離れたからいけなかったんだ。  よく考えればわかることだろう!  そう自分を叱責する。 「……助けてくれて、ありがとう」  しかしジルはそう言った。 「……怖い思いをさせて、ごめんね」 「ううん。守ってくれた。リヒトが守ってくれたから、僕はほんの少しだけど強くなれたんだ。ありがとう」  リヒトは息を呑んだ。 「あの時、僕は全く動けなかったんだ。だって今まで逆らうなんてことを考えたこともないし、したことがなかったんだ。でもね。リヒトが守ってくれてるって思ったら、『嫌だ』って、言えたんだよ」 「……ジル」 「……僕は弱いから、リヒトに守ってもらう事ばかりなんだけど……それでも僕はリヒトと一緒にいたいんだ」 「ジル! 俺も、俺だってジルと一緒がいい!」 「だから、『嫌だ』って言えた。僕にも言えたんだ……」 「うん。わかった。ありがとう、ジル」  リヒトは胸がいっぱいになっていた。自分の存在が、ジルの心を強くしていることに嬉しさが込み上げてくる。  不器用な自分だからうまくやれない。  兄のラオネならもっとうまくやっていただろう。  そして父ならば更にもっとうまくやれていただろう。  でもこんな自分でもいいと、ジルは言ってくれた。『リヒトがいい』と、自分の存在を認めてくれた。何よりもかけがえのない運命の番に、自分の存在を認めて貰えたことが、リヒトを更に強くしていった。 「リヒトがいい。僕の傍にはリヒトにいて欲しいんだ」 「俺だってジルがいい。ジルの傍には俺がいる。俺だけがジルの傍にいることが出来るんだから……」  二人は暫しの間そのまま抱き合っていた。 「……」 「……」  二人は暫しの間、抱き合い安堵していた。するとスウスウと寝息が聞こえ始める。リヒトの匂いを鼻腔いっぱいに吸い込んでいたら、自然とジルの瞼が閉じてきた。  リヒトのところに、僕は戻って来られたんだ……。  ジルの心に安堵の幸せが広がっていた。  リヒトの体温を感じ、ドクンドクンという心臓の音を感じると、幸せだなと込み上げてくるものがあった。それに#抗__あらが__#うことなく身を任せると、自然と眠りの中に落ちていた。  リヒトはそんなジルをしっかりと抱きしめる。  もう二度とノベール家に近づけさせない。  他の人たちも……  そう思いながらハッとする。  自分の最愛の運命の番であるΩを、監禁したくなるαの気持ちが、今初めてリヒトは理解したような気がした。  全てのものから守りたい。  閉じ込めてしまえば手っ取り早い。  しかしリヒトは首を振る。  それじゃあダメだ。俺とジルの関係はそれじゃあダメなんだ。  監禁するより傍にいて、しっかりと守りたい。  小さな箱庭にいて得られる幸せを、ジルは望んでいないのだから。  リヒトはジルの髪に頭を埋める。そしてジルの体を支えながらそっとその華奢な背を撫でた。そして外されたピアスをつける。今度は自分以外の者が決して外せないように。恐らくマグナは、リヒトの独占欲の塊である何かしらの念を感じたのだろう。だから外した。リヒトはそう解釈した。  ……腹正しい。  腹正しいが、今は堪える。そんなことよりもジルに寄り添っていたいから。  三十分程した後、ジルの目が覚めた。 「……あ、リヒト」 「うん。大丈夫?」 「……大、丈夫……? ……あ、えっと、うん。そうか。うん、大丈夫」  ぼんやりしながら今の状況を思い出し、ジルはそう答えた。 「もう大丈夫。これからは俺がしっかりとジルを守るから」  だから安心してと、リヒトはそう言おうと思った。しかしジルは微笑んで言った。 「うん。ありがとう。でもね、大丈夫、なんだ」 「え? どういうこと?」 「僕の傍にはリヒトがいるから」  ジルは微笑みながら答えた。 「僕にはリヒトがいる。だから、大丈夫なんだ」 「うん。そうだよ。だから俺が」 「ありがとう、リヒト。でもね、僕はリヒトの横に並びたいんだ。ただ守られるだけじゃなくって、僕にも出来る事をしたいんだ」 「ジルに出来ること……?」 「うん、そう。……でもね、僕は弱いからまた失敗すると思うだ。でもね、それでも僕はリヒトの横に並びたいんだ。だから」 「そっか。そういうことなんだ。そうだよね、うん。わかった」  ジルの想いを知ったリヒトは、感慨深い想いを感じていた。ジルの言いたいことは、ただ守られ庇護されるだけの存在にはなりたくないということだ。  俺の傍に立ち、俺と共に歩いていきたい。  そういうことだ。 「リヒトにいっぱい迷惑とか心配とかかけると思うんだけど、いいかな」  ジルはリヒトに抱かれたまま、彼の目をじっと見つめる。リヒトは微笑んで答えた。 「勿論だよ。俺と一緒に頑張ろう」 「うん。リヒトと一緒に頑張る」  ジルはゆっくりとリヒトの背に腕をまわし、彼をギュッと抱きしめた。 「っ!」  リヒトの心臓はドキンと跳ねた。 「リヒトが好き」  ジルの呟くようなその言葉に、リヒトの下半身が素直に反応した。 「あっ、ごめん」  こんな時でも、リヒトはリヒトだった。 「あ」  自分の尻の下で、リヒトの下半身が固くなったことに、ジルは気付いた。 「こんな真面目な時に、正直すぎてごめん」  動揺してしまったリヒトだが、愛しい人に好きと言われれば、思春期真っ盛りの男の子の下半身が、素直に反応しても仕方のないことだった。  僕に反応してくれているの?  こんな、可愛くもない、綺麗でもない僕に……?  僕も……リヒトに……  そしてジルは、顔を赤らめて呟いた。 「……僕も、」  そう言ったジルの下半身も、リヒトの反応に反応していた。ジルの下半身にも熱が集まっていた。 「ジルも? ジルも俺に欲情してくれたの」  嬉しそうにリヒトが顔を覗き込む。 「……うん。僕も」  そう言うのがやっとだったが、リヒトはそんなジルの想いに気付いている。 「嬉しい。ジル」  そう言うと、リヒトはジルの唇に自身のそれを重ねた。ちゅっちゅっと、ついばむようなキスから、段々と深く重ねていく。 「……ぅ、ふぅ」  ジルもそれに素直に応える。リヒトはジルの唇の隙間から舌を挿入る。ジルの舌に絡めるように口内を蹂躙する。 「ん……ん、んぅ……」  ジルの耳に、唾液の水音が聞こえてきて、背筋にゾクゾクとした痺れが走ってきた。 「……ん」  気持ちいい。  愛しい人から求められる喜びに、ジルは浸っていた。するとリヒトが上着の隙間から侵入してくる。手を滑らせるように背中を撫でられる。その刺激に、ジルの絡めている手に力が入る。  リヒトのその手が前に回ってきて、小さなジルの胸の突起を掠めていく。 「んん、う、ん……」  ビクンビクンとジルの体が小さく跳ねる。リヒトはジルの唇から離れると、そのまま耳に口づける。 「ああん、んんぅ」 「可愛い、ジル。もっと聞かせて?」  耳元で囁かれ、ゾクゾクとした痺れが興奮に変わっていく。 「リヒ、ト、リヒトぉ……」 「ジル、可愛い」  自らつけたプロテクターを外し、その露わになった項をねっとりと舐める。 「んんんっ!」 「ここに俺の印をつけたい」 「いいよ。つけて」 「うん。だけど今はまだ我慢する」  そう言って、彼の項を甘噛みする。ジルはその小さな痛みに歓喜した。 「噛ん、で」 「うん。必ず」  そう言いながら、片手でジルの腰を浮かせるようにズボンを寛げ、さっと脱がす。露わになったジルの性器はぷるぷると震えている。  リヒトはごくりと生唾を飲み込んだ。
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