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第39話 9、発情

 朝食を終え、そのまま移転魔法でギュスターヴ家へ向かう。今日は玄関に到着する。 「ただいま~」  リヒトが声をかけると、中から、リヒトの母ソフィアが出てきた。勿論横にはリヒトの父アーロンがいた。 「やあ、お帰り。元気そうで何よりだ。さあ、入って」  アーロンに声をかけられ、ジルはこくんと頷いた。 「はい。おじゃまします」  ジルとリヒトは二人で応接室に入って行った。 「いろいろあって疲れたんじゃない?」  アーロンに聞かれ、ジルは苦笑した。 「はい。魔法を暴走させてしまいました」  恐らく何もかもお見通しであろうアーロンに、今更隠し事などする気はないジルは、素直に頷いた。 「うんうん。よくあることだね。ただジルの場合は、大きくなってからのことだったから、驚いただろうね。でもリヒトもラオネも、小さい時にはいろいろ失敗していたからね」  アーロンが言うと、リヒトは、うんうんと頷いた。 「例えば、いきなり竜巻を起こして、家を半壊にしたりとか」 「あ、あれは兄貴が邪魔したからで」  リヒトは慌てて弁解する。 「でも半壊は半壊だっただろう?」 「ぐうっ」 「ははっ。ラオネなんか、未だに魔の森でバンバン魔法出し過ぎて、魔物どころか森まで焼き尽くしそうになったこともあるくらいだからね」 「そう、なんですか」  ジルは小さく頷いている。 「だけどね、その時、自分で対処したり、自分じゃ無理な時は誰かにヘルプしてもらうんだ。それがジルにとってはリヒトなんじゃないのかな」  アーロンはそう言ってジルに微笑みかけた。ソフィアがお茶を入れている。 「ジルくん、どうぞ」 「あ、ありがとうございます」  そっと勧められるままにカップを手に持つ。少し熱い位のそれは、ジルの心にじんわりと広がっていく。 「大抵の番の場合は、恐らくαが攻めでΩが防御というスタイルが多いが、もしかしたら君たちは逆かもしれないな。まずそこを私たちは見誤っていた様だ」 「え?」 「恐らくはジルは攻撃系の魔法が得意なんじゃないのかな。属性とか関係なしにね」 「え? 僕が攻撃魔法を?」 「そう。リヒトの得意魔法は風、土、光だ。まあ全属性は扱えるが、相性のいいものはその三つだ。そうだろう、リヒト」  アーロンに聞かれ、リヒトは頷いた。 「そうだよ」 「だから、逆転の発想をしてみないか。その上でジルの心に反映されやすいというウィークポイントの対策を練る。リヒトはひたすら魔力のアップと、ジルのフォロー。どうだ?」  リヒトとジルは顔を見合わせた。 「ジル、やってみようよ」 「で、でも、リヒト……」 「俺やりたい!」 「……うん」  攻撃魔法は目立つし、パーティーの花形である。リヒトの方がお似合いだとジルは思った。  ラオネも攻撃魔法の方が得意である。なのでパーティーの顔である。逆にシメオンはその性格もあるが、防御やサポートが得意なので、あまり目立っていない。  それを考えると、自分には厳しいものがあると、ジルは思った。 「まあ、まあ。そんなに難しい顔をしないでいいのよ」  ソフィアは微笑んでいる。 「え?」 「だってαであるアーロンは、Ωである私のことを一番に考えてくれるのよ。私の為にたくさんのことを頑張っている。だから私は、私らしくいられるし、笑ってここで待っていられるの。わかる?」 「は、はい」  でもそれは、普通に家にいる時の話じゃないのかな……。  魔法を使うパーティーになると、アルファを立てるΩの方が多い。というか知っている限りそのパターンばかりだ。  αに立ててもらうΩの魔術師なんて聞いたことがない。しかし、そんなジルに、ソフィアは微笑んで言った。 「あのね、ジルくん。リヒトはね、ジルくんを守りたいのよ。大抵はアーロンのように、自分で攻撃して相手を排除するαが多いわよね。でもリヒトは違うのよ。リヒトはね、ジルくんと一緒に戦ってきたいのよ。ね、そうでしょ、リヒト」 「うん。そうだね」 「リヒト……」  そうだ。ドニス君もクレス君も言っていた。  リヒトは優しいから、相手を拒絶できなくて大変だったって言ってた。  もっと強く言えばいいのにって思ってたって。  ああ、そうか。だから僕なんだ。  その時、ジルの心には、その意味が素直に降りてきた。 「愛しいΩを守る方法として、攻撃タイプのαが多いけど、リヒトは違うのよ。Ωであるジルくんが、自分らしくいられるように、ジルくんを守る戦いの方が、リヒトにはあっているのよ。リヒトはサポート系の方が得意だからね。まあ、一見はそつなくこなしているから、他人には理解されにくかったけどね」 「そういう訳だからさ。安心してよ」 「リヒト……うん。わかった。いろいろやってみて、その方がいいのならお願いするよ。でもそうではないときは僕がサポートしたい」 「うん。わかった」  そこでやっと、みんなでホッと息を吐いた。 「じゃあ、今日はゆっくりしていきなさい」 「一晩よろしく」  アーロンとリヒトはそう話した。暫くの間、四人で話をした後、リヒトは魔力アップの特訓をアーロンとすべく、どこかへと向かって行った。  ジルは図書館に向かう。ギュスターヴ家は、代々続く魔法の名家であるため、その手の文献も沢山残されている。ジルは時間を忘れるように読みふけっていた。  ふと室内が暗いと感じたジルは、明かりをつける。  まだリヒトも頑張っているんだ。僕も頑張りたい。  再びジルは紙面に視線を落とした。その時。  ドクン。  ジルの下腹部が、火がついたように熱くなった。  え……?  腹の奥に熱を感じ、その熱はじわじわとジルの体に広がっていくようだ。 「……はっ、……ぁっ……」  熱い。あつい……。  ジルの性器が熱を持ったように立ち上がってくる。双丘の奥からは、じわりと何かが溢れている。 「んっ」  堪らず声が漏れる。 「ジル!」  リヒトが現れた。ジルの今の状況を感じ、移転してきたのだ。  リヒト。 「んんっ」  自身の体を抱くように、頭を机に突っ伏したジルを、リヒトは抱きあげ、素早く自身の部屋へ移転する。 「うんんっ」  抱えられたリヒトの体温が熱するように熱く感じる。そこから込み上げる、更なる熱に侵されていく。段々ジルの意識は朦朧となっていった。  リヒトはジルをベッドに下ろすと、その勢いのまま抱き着き、噛み付くようにその唇を貪る。 「んふっ、……ん」  気持ちいい。  リヒトは剥ぐように、ジルの衣服を脱がせていく。撫でまわすようにジルの体に触れていく。リヒトに触れられる場所から、どんどん熱が込み上げてくるようだ。堪らずジルは小さく喘いだ。 「あっ……んんっ……」  薄っすらと開いた唇を割って、リヒトの舌が侵入してくる。歯列を舐め上げ、ジルの舌に絡める。  気持ちがいい。  じわりじわりと後孔の内壁から溢れてくる粘液。もう既に、ジルの性器は切なく震えている。そこにリヒトの手が触れ、心が歓喜に震える。  気持ちいいから、ねえ……もっと、触って……。  そんなジルの気持ちに応えるように、ジルの性器を扱くリヒトの手の動きが早くなる。徐々に高められていく快感に、堪らずジルはリヒトにしがみついた。 「ああっ、あんっ、イ、イクっ、いっ、ああっ」  ジルの性器は、ぴゅくっと白濁を飛ばした。
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