59 / 59

第59話 番外編・学園祭

アルファさんでは、加筆修正をしたのですが、こちらに行き着いていません。 ですので番外編としてこのお話を追加しました。時期は、第55話「ある日の朝」の前です。 挿絵を描いて頂きましたので、イラストの方に公開してます。  そんな中着々と日が迫っていた。 「学園祭?」 「そう!! 学園祭だよ、ジル」  そう、学園祭である。はしゃぐリヒトとは対照的な浮かない様子のジル。 「……僕は、いいよ」 「なんで? 一緒に楽しもうよ。あ、俺たちのクラスは出し物、あ……何だっけ」 「……仮装喫茶」 「おお!! 仮装か!! ジルは……」  かわいいメイドさんだな。コレ、決定!!  そんなことを言いながら、もう既にジルがメイドさんになっている姿を想像し、思わず鼻を押さえた。  危っぶな~。鼻血出すところだった……。  ちらっと見えるスカートのひらひらの中を想像してしまい、うっかり鼻血を出さなくてよかったとホッとしているリヒトを横に、ジルは物憂げな表情を浮べていた。  ハッとしてジルを見つめるリヒト。 「……僕は、いいよ」 「どうして?」 「……うん」  今までの経験から、恐らくはクラスメイトには歓迎されないだろうと思っていたジル。  そこに、学園祭だからと、のこのこ参加するのは気が引けていた。  しかしリヒトの脳内妄想は炸裂しているのである。止まるはずはないし、止まらせてはいけないと思った。 「大丈夫!! 俺に任せて!! 俺が学園祭ハッピーライフをジルに届けるから!!」 「……え?」  なにそれ……と言いそうになった言葉を、すんでのところで飲み込んだジル。  こんなにも張り切って、活き活きしているリヒトに、その言葉は言えなかった。 「俺がジルを守るからっ!!」  だからメイド服、着てくださいっ!! とは、ジルの様子を見て言えそうにもなく、すんでのところで飲み込んだリヒト。  火花が散って……いるわけではなかったが、なんとなくリヒトの熱い想いに飲まれるかのように、「……うん」と、ジルは返事をしてしまったのであった。 「えっと……リヒト、これ……」 「うん! チョイスした!!」    嬉しそうに言われ、困惑するジルの前に差し出されたものは、メイド服と呼ばれるものだった。 「えっと……これはリヒトが?」 「うん! 似合うかなって」 「……どうしても?」 「え? もしかして、いや?」 「いやっていうか……いや、かも」 「え……」  今度はリヒトが困惑する番だ。 「だって、これが一番かわいかったし」 「……」 「だめ?」 「う~ん……」  見つめ合うふたりに、クラスメイトの一人が声をかけた。 「リヒトが着れば?」 「「え?」」 「案外そっちの方がいいかもよ。あはは」  最近はクラスメイトたちの中には、歩み寄ろうとする者が出ていた。そのうちの一人である彼の発言を、ジルはちょっと想像してみた。  リヒトのメイドさん。  うわっ。ちょっとかわいいかも。  未だリヒトは幼さを残す風貌だ。似合いそうだなとジルは思った。 「いいかも」 「え?」 「リヒト、着てみてよ」  ふふっと笑いながら言われ、更に困惑するリヒトだが。 「よ、よし! 着てみよう!」  リヒトは決意した。 「うん!」  ジルも応援した。  とりあえず別の開き教室に向かい、リヒトは着替える。それを固唾をのんで見守るジル。何とも言えない熱い空間になっていた。 「かわいい!!」 「マジか」 「うん。似合ってる」 「マジで?」  ううむと唸りながらも、ジルが嬉しそうだし、まあいいかと思うリヒト。そして。 「じゃあ、ジルはこっちね」  リヒトが差し出したものは、執事の衣装だった。 「これなら、うん」  とにかく着替えようとばかりに、ささっと着替えるジル。 「どう?」 「おおっ。何気にかっこいいかも」  二人で顔を見合わせて笑った。 「でもさあ、なんか物足りなくない?」 「え?」 「せっかくの仮装喫茶でしょ。なんかさあ、こう、もっとインパクト欲しいよな」  リヒトは何を、求めているんだろう。  ジルは困惑した。  これでいいんじゃないのかと。リヒトは一体、どうしたいのか。 「調べよっかなあ」 「え?」 「なんか面白そうな衣装とかありそうじゃない? せっかくだから楽しもうよ。ね、ジル」 「……う、うん」  そう言えばと、ジルは思い出した。 『俺が学園ハッピーライフをジルに届けるから』  確かにリヒトはそう言っていた。  そしてふたりで着替え直し、教室に戻ってみる。  先程の彼が歩み寄ってきたので、リヒトが先程の内容を相談する。それをドキドキしながらジルは見守った。 「もっとインパクトねえ~」 「なんかないかなあ。こう、お約束的なんじゃなくってさあ」 「お約束ねえ。お約束だからこそ楽しいんじゃないの? 着崩すとかは?」 「インパクトあるか?」 「リヒト、燃えてるなあ」  ハハッと彼に笑われるも、そこは引かないリヒト。 「笑ったな。見てろよ。きっとすごい仮装するからな!」 「マジか! じゃあ、俺も探してみるわ」 「おおう! 頼んだぞ」  これで一安心とでもいうかのように笑うリヒトを見て、ジルも段々楽しくなってきた。  今までの会話の時間の中でも、今までとは違う温かさも感じられていた。 「リヒトが頑張るなら、僕も頑張ろうかな」 「ほんと? じゃあ、一緒に何か着ようね。探そう!」 「うん!」  ふたりの会話を聞き、クラスメイト達にも、何かに火がついたようだ。 「オレ、小物探すよ」 「喫茶の内容にも力入れたいよね」 「そうそう。教室の中も、気合入れたいよな」 「ジル」 「ん」  嬉しいなと思った。そしてリヒトを見てジルは笑った。そんなふたりの姿を見て、クラスメイトも笑った。  そして調べるうちに、いろいろな衣装を見つけてしまった一同。 「なるほど。これは確かにインパクトあるかも」 「だろう?」 「こっちもいいんじゃない? なあ」 「そうだなあ」 「でも、こっちのもよくない?」 「どれどれ?」  リヒトはクラスメイトたちとも会話が弾み、盛り上がっている。それを見て、なんだかジルも嬉しくなってきた。  疎外されている感じはなく、自分もクラスの一員なんだと思うと、嬉しいなと思った。 「あ、僕、看板作り、手伝うよ」 「いいの?」 「うん」  そんなジルをリヒトは横目で見つめ、ふっと笑った。  当日の仮装は決まった。  あっという間に当日を迎え、それぞれの衣装を身に着ける。 「ねえ、リヒト……こ、これ」 「うんうん。いい感じ!!」 「……」 「んん?」 「……でも、リヒト、かっこいいね」    互いの姿を見て微笑みながら頷き合う。  ジルはバニーガールさん。リヒトは異国の着物だ。 「リヒト、なんかかっこいい……それ、異国の服なんでしょう」 「うん。そうみたい。かっこいいよね」  異国の着物を着たリヒトは、なんだか少しいつもより大人びて見えていた。  一方のジルは、かわいいバニーちゃんである。  意外に素早く準備が進み、学園祭開始まで、まだまだ時間があることに気付いたリヒトは、ジルのプリッとしたお尻のラインに釘付けになった。  しっぽがふよふよしている。  ごくっ……  かわいい、可愛すぎる。いいよな、ちょっとだけ、ちょっとくらい。うん、いいってさ。誰か知んないけど、いいって言っているような気がする。 「ジル」 「なあ、……に……え、あ、あ、ちょっ、リヒトっ」  そっと抱き着きジルの張りのあるお尻を撫でると、光沢のある衣装のせいで、いつもより敏感に刺激がジルを襲う。  その反応に気を良くしたリヒトは、そのまま前に手を伸ばす。  ふよふよと握ると、その刺激も加わり、あっという間にジルの性器は勃ち上がり始めていた。 「あ、あん! リヒトぉ……もう、始まっちゃう、からぁ」 「大丈夫、まだ始まらないし」  止まらない、と言う間もないまま、ジルはリヒトにおいしく頂かれたのであった。 後日、息子編「クウリの魔法!」を別タイトルにて更新します。よろしくお願いします いつもありがとうございます。 藍白。
スキ!
スキ!
スキ!
スキ!
いいね
笑った
萌えた
切ない
エロい
尊い

ともだちとシェアしよう!

この小説を読んだ人におすすめの作品

「愛することの始まりは、妥協できる範囲を知ることさ。完全な相性の一致なんてあり得ない。相手の好きなと
2
20
2
5
4
連載中/8話/28,081文字/20
2017年7月12日
抗えぬそれは、まるで引力。
52
19
48
1
37
完結済/9話/47,025文字
5月12日
パーフェクトな男前副社長は、元同級生です。
1
2
連載中/48話/31,928文字/13
8月4日
《R-18》✲あり。両親を一度に亡くした少年が全寮制の高校に入って、出会った人達と成長してい物語
886
26
175
520
43
371
連載中/409話/477,833文字/550
4時間前
死にかけた子供を拾ったら、可愛くて仕方がなくなった。
206
67
173
6
55
完結済/25話/10,000文字/283
10月25日
大切な双子の記憶を消したのに、どこかで思い出そうとする自分がいる
12
4
4
1
完結済/11話/15,448文字/40
11月29日