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嘉瑞の妹 8*

「あ、愛ちゃん。こういうのって本当に良くないよ」 「なんで?」  まるで俺が変だと言うように首を傾げる。自分の行動が正しいと思い込んでる愛ちゃんは、一切引こうとしない。 「やっぱり発情期じゃないから、このシチュエーションに興奮しないのかしら?発情期促進剤を使いたいところですが、あなたのフェロモンに嘉瑞が反応すると面倒ですし……でもまぁ、怜斗さんは下だから大丈夫ですよね」  勝手に自己解釈をして解決し、にっこりと笑った愛ちゃん。兄妹だからか嘉瑞と笑い方がかなり似ている。この場から逃げなくちゃいけないのに、彼女から目が離せない。 「私と一回ヤってくだされば、お母様とお父様に助言してあげます。これは、怜斗さんにとっていい事だと思いますよ。だって私の両親は超血統主義なので、怜斗さんの存在を認めようとはしないでしょう。だから、嘉瑞も会わせなかった。反対されるのは分かりきっていたから」  早く身体を差し出せ、と言うように淡々と問い詰めていく。愛ちゃんから与えられた情報が突き刺さり頭の中を支配していった。 「……愛ちゃんが助言して変わるような両親なの?」  グラグラになった思考回路で拒否をする。また、嘉瑞と離ればなれになりたくない。もう二度と一人で生きたくない。ダメだと分かっていても、受け入れられる可能性があるのなら増やしたかった。俺には、そこまでの価値があるのか判断出来なかったから。 「えぇ、親バカなので」 「親バカなら、嘉瑞がする事にも寛大じゃないの?今まで会いに来なかったんだし」 「怜斗さんが私の条件をクリアしてくれないのなら、二人の仲を全力で反対します。怜斗さんのあらぬ噂を告げ口してしまうかもしれません」 「でも、俺……知ってると思うけど番だよ。愛ちゃんとエッチしたって気持ち悪くなるだけだし、愛ちゃんもそんな俺見て良い気分にならない……「えぇ、拒絶反応の事は知ってます。ですが怜斗さんは、有馬さんと関係を持ってらっしゃったんですよね?」 「なんでそれを……?」 「興信所に調べさせました。私の両親も知ってます」  一気に血の気が引いた。俺達の状況を知ってるのなら、なぜわざわざ会いに来たのだろう。もしかしたら俺は、今、嘉瑞の家族に試されているのかもしれない。 「だから、平気ですよね。私とのセックス」  後ろからハンマーで殴られたような衝撃。何もかも知った上で、俺としたいと言う。 「女の子は抱いた事がありますけど、男性の方は初めてなので指示してくださいね」  好き、嫌いとかじゃなくて『性』に興味があると言い捨てた愛ちゃん。ピタリと意識的に胸元に触られた。相手が性意識を持っていると判断した瞬間、拒絶反応が起きる。 「うっ……」  口元を手で押さえ、崩れるようにソファーにもたれた。布地のソファーを掴み、意識をそこに集中させる。額からは大粒の汗が滲み出、心臓の音が早くなった。胸元に置かれた手が下半身へと移動する。腰まで来た瞬間に、「バンザイしてください」と言われ着ていた長袖シャツを脱がされた。  一息吐いて愛ちゃんを見る。 「怜斗さんって白いですね。ココ、嘉瑞の痕がついてる」  グリグリと人差し指で痕を押された。上書きされたわけじゃないのに、そこから体が腐っていくような感覚がする。 「事務員さんやってるんですから、筋トレぐらいしないとダメですよ。あばら骨が浮き出てるじゃないですか……」 「萎える?」 「いいえ、好奇心の方が優ってますので。腰上げてください」  腰を上げればスウェットを脱がされる。下着に手をかけられ遠慮なく脱がされれば目線はもちろん縮こまっている、あそこ。 「かわいいですね」  親指と人差し指で刺激されれば、酔ったように頭の中がグルグルした。気持ち良さと気持ち悪さの混ざり合い、懐かしい感覚。  愛ちゃんはローテーブルの裏から隠されていたローションを取り出す。この日の為に用意したの、と笑う愛ちゃんは悪魔に見えた。それを十分に右手へ垂らすと蕾に指を入れる。有馬の手によって、何度もその感覚を経験した体は徐々に受け入れた。 「怜斗さん後ろ向けて下さい」  愛ちゃんに言われるままに背を、お尻を向ける。ピタリと蕾に熱を感じ、あぁ、嘉瑞の妹に俺、ヤられちゃうんだと思った。たまたま、目の前にあったクッションを抱えて衝撃に備える。 「アッ…アアッ……!」  気持ち悪さと快感が入り混じり、吐きそうになった口をクッションに埋めた。セックスなんて一瞬で終わる。大丈夫……と思った瞬間、視界の隅でゴソゴソと何かが動く。 「ん……ふぁあ〜……」  え?嘘だろ……嘉瑞が起きた。
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