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秘密03

「はあ?」と僕は眉を寄せた。 「今、図書室から英くんが出て行った。こんな朝早くから二人きりで何をしていたんだ!」  小暮先生が僕に近づくと、ガシッと両肩を掴んできた。 「触るなよ!」  僕は小暮先生の手を払う。 「何をしていたんだ」 「別に何も。なんかするとでも思ってたわけ? 僕の落とした携帯を英先生が届けてくれただけだ」 「携帯?」 「そうだよ。学校内では禁止だから。人目につくところで渡したら、問題になるから。早朝に図書室に来てくれって。ただそれだけだ」  僕は図書室を出ようとするが、ぐっと小暮先生に腕を掴まれた。 「本当に? それだけ?」 「それ以外に何があるって言うの? ってか、ここは学校だ。父親ヅラすんなって言ってるだろ」  僕は小暮先生の腕を払おうとするが、力を入れられて全く微動だにしなかった。 「ちょ……教室に戻りたいんだけど」 「瑠衣、無断外泊といい、今の出来事といい……ちょっとおかしいんじゃないのか?」  僕はドンっと、小暮先生に突き飛ばされ、床に転がされた。  ガツンと後頭部が床に当たって、世界がクラクラする。 「本当に何も無かったんだな?」  おかしいよ……こいつ。  なんで僕が小暮先生に突き飛ばされなくちゃいけないんだ。  小暮先生が僕の上に馬乗りになると、制服のワイシャツを力いっぱい引っ張った。  パツン、パツンと糸が切れる音がして、ボタンが飛んでいくのが目の端に映る。  なんだよ。何すんだよ!  僕は、手足をバタつかせて抵抗した。 「やめっ……はなせっ」 「小暮先生、何してるんです?」  頭上から喉仏にかかる低い声がした。  顔をあげると、さっき図書室を出て行ったはずの英先生が怖い顔で立っていた。 「は、英先生っ!?」  小暮先生が、パッと僕から離れると喉の奥を鳴らして、意味もなくスーツの皺を直し始めた。 「ちょっと……伊坂君が」  小暮先生が語尾を小さくして言葉を濁した。  切れ長の瞳で英先生が、小暮先生を冷たく見やる。

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