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暴力01

 放課後の職員室って、実はあまり好きじゃない。  先生たちが集結してて、何やら難しい話をしている気がする。冷たい空気が、室内を取り巻いて、ただでさえ入りたくないのに、足を踏み入れる気持ちを余計に萎えさせるんだ。  それでも僕は英先生と約束をしたから、職員室に行かないと。  僕のワイシャツを直してくれるって言っていたけれど、先生が授業の合間を見計らって、ボタンつけをしてくれたのだろうか?  僕は恐る恐る職員室の扉をひくと、「失礼します」と足を入れた。  各学年の先生たちが、顔を突き合わせて座っている。  僕は1年生の教師陣の群れを通り過ぎて、2年の教師たちが固まっている机に足を向けた。  そこには顔を見たくない小暮先生もいる。今年は僕の担任じゃないけど、同じ学年の先生だ。  僕の担任は、英先生だ。職員室でいきなり声をかけても、僕の担任だからまわりから不思議な目で見られることもない。  小暮先生だけは、何をどう思ったのかは知らないが。僕と英先生の関係を、疑っているみたいだけど。 「英先生」と僕は小さい声で呼んだ。  何やら小難しい書類に字を書きこんでいた英先生が、顔をあげた。  グレーのワイシャツを着ている。これが更衣室に入れてあった替えのワイシャツだろう。 「伊坂か」と僕の姿を確認した先生が、机の抽斗から綺麗にラッピングされた物を取り出した。 「前に探しているって相談してきただろ? 見つけたから、良かったら使うといい」  周りの人たちに不信がられないように、英先生が気を使ってくれている。  僕はラッピングされた袋を手に取ると、「代金は?」と話を合わせた。 「金額なら袋の中だ。持ち合わせがあるときでいい」 「わかりました。わざわざありがとうございます」  僕は英先生にお辞儀をして、職員室を後にした。  廊下に出ると、ラッピングの袋を少し崩して中身を確認する。僕が今朝、着ていたと思われるワイシャツの襟がちらりと見えた。  その他に、小さなメモ用紙が入っている。僕は指を入れると、その用紙を引っ張り出した。 『繕いものは苦手だ。上手くはないが、ワイシャツは着れるはずだ。俺のワイシャツは伊坂のロッカーに入れておけ。今日、俺が帰宅するときに取っていく。洗濯云々は考えなくて良い。英』  男とは思えないくらいの綺麗な字だった。  黒板に文字を書くとき、読みやすい字だなとは思っていたけど。こうしてメモ用紙に文字を書かれると、さらに綺麗さに拍車がかかっているようだ。

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