16 / 24

三者面談01

「間に合って良かったぁ」と母さんが、廊下を小走りでやってきた。  膝の出た短いスカートに、必要以上に胸元のあいた服を着ている。カーディガンを羽織って、厭らしさを隠しているのだろうけど。  僕から見れば、そんなの意味がない。 「なんて格好で来てるんだよ。三者面談だってわかってる? 独身女たちのコンパとは違うんだ」 「お母さん、まだまだイケるでしょ? こういう服装も似合うってわかったの」 「はあ?」と僕は不機嫌な声をあげた。  どんな服を日常で着ようが構わないけど、TPOは考えろよな。  これからコンパ行きます~的な服を着て、学校に来られて恥ずかしいのは僕なのに。 「担任の先生って、24歳の独身男性なんでしょ? これくらいのサービスはしないと」 「どんなサービスだよ。ここはキャバクラかっての。僕の進学について話し合いの場で、色気を振りまくな」 「似合うって言ってくれたのよ」 「言った相手の名は聞きたくないね。絶対に言うなよ」  僕は首を振ると、「はあ」と息を吐きだした。  言った相手はわかってる。どうせ小暮先生だろ。  あいつはエロい服が好きみたいだからな。はっ、やってらんねえ。 「小暮の次は、英先生かよ」と、僕はぼそっと言葉を吐きだした。  僕は金曜日の夜の出来事を思い出す。英先生のセックスは凄く気持ち良かった。  もし母と英先生が……なんて考えたくないけど。若い男の先生と、独身の保護者。よくあるシチュエーションと言えば……そうなるけど。  英先生だって男だ。男の僕を抱くより、母のほうが魅力的に見えるだろう。  でも……母とはそういう関係になって欲しくない。 「お母さん、意外とモテるって離婚してからわかったの。若いときにできなかった恋愛を、今は楽しみたいの」  うざっ。  背後からクスクスと失笑するのが聞こえて、僕は振り返った。  教室の扉に寄りかかっている英先生が、笑いを抑えていた。 「あら、先生……立ち聞きしているなんて失礼ですよ」 「何やら、楽しそうに会話をしていらっしゃるから。お二人の会話が終わるのを待っていようかと思いまして」  英先生が、普段生徒たちの前では見せないような笑顔を母親に見せた。  それは作り笑顔? それとも色気全開の女に喜んでいる本気の笑顔? どっちだよ。  英先生の見たことのない笑顔を、他の人に見せるのって苛々する。
いいね
笑った
萌えた
切ない
エロい
尊い

ともだちとシェアしよう!