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三者面談03

 教師たちから『不良』って一目おかれるような人間ではなかったけど。なんとなく嫌なんだ。  英先生には、真面目な僕だけを知っていてもらいたいから。 「『取り消し』?」  英先生が眉間に皺を寄せた。 「一から志望校を考え直したいって思ってるんです。でも何を、どうしたらいいのか……」 「それなら、そうと相談してくれればいいんだ。放課後、きちんと時間を作るから」 「そんな……ご迷惑ではありませんか? 教師のお仕事はお忙しいって聞きますし」  母さんがすかさず横やりを入れてきた。 「悩んでいる生徒を放ってはおけませんから」  英先生が、母さんの顔を見て会釈した。 「母の言うとおり、僕……先生に迷惑は……」  もうかけたくない。ただでさえ、『抱かないと先生の過去をバラす』とか言って脅したヤツなのに。 「どの教師も決まって言う決め台詞みたいな言葉だが、今が大事なときなんだ。伊坂は馬鹿じゃない。努力すれば、希望の大学に行けると信じてる。だから相談しよう」  僕はコクンと頷くと、英先生が「よし」と呟き、分厚い手帳を開いた。 「今日は会議が入ってるから無理だが、明日の放課後ならどうだ?」 「あ、はい。大丈夫です」 「なら、そのときにきちんと話し合おうな。今日はせっかく伊坂のお母さんに来てもらって、進学の話ができなかったのは申し訳ないが。後日、伊坂のほうから報告しろ」 「あ、うん」と僕は英先生の言葉に頷いた。 「先生の格好良いお顔が拝見できただけで、嬉しいわ」  もう三者面談は終わりだと察知した母親が、席を立ちあがると、英先生の手にすっと手を重ねた。  はあ!? 何、やってんだよ。  僕は、母の手から腕を経て、横顔を見つめる。  小暮にも見せるような女の顔で、英先生の目をじっと見つめていた。  英先生は、「失礼」と声をかけてから母さんの手を退けた。 「志望校が決まったら、先生からもご連絡いただけるんですか?」  母さんが、上目づかいをする。 「いえ。連絡しません。伊坂がきちんと報告するでしょうから」  お帰りください、と言わんばかりに英先生が教室の扉に向かって手を差し出した。  なんて恥ずかしい親なんだ。小暮だけじゃなくて、英先生にまでも手を出そうとしているなんて。

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