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「耀、断れなかったんだろ? ただそれだけ。私とのことがあって、自暴自棄になって」 「自暴自棄って何年前の話だよ、クソじじい。」  柚希の言葉に、春臣の目が吊り上がる。「いちいち五月蠅い、ガキだ」と春臣が立ち上がろうとして、俺は慌てて腕を掴んだ。 「あっちで話をしよう」  これ以上、柚希を傷つけて欲しくない。ここにいたら、柚希がもっと殴られてしまう。 「ここでいい。ここで話せ」と柚希が俺の目を見てくる。  ダメだ、これ以上。殴られて欲しくない。柚希な綺麗な顔に傷をつけて欲しくないんだ。 「少年なら俺が見てる」とケイが呟いた。 「じゃあ決まりだな」  春臣が俺の手を掴んで、立ち上がらせてくれた。  柚希が怖い顔をして、俺を見つめている。俺も柚希をまっすぐに見つめ返した。 「契約」 「わかってるよ」  俺は柚希から視線を外して、春臣と一緒に部屋を出ていった。  契約違反を犯してまでも、柚希を守りたいって思ってると言ったら柚希は怒るかな。俺も、長瀬みたいに半殺しの刑というやつになってしまうのだろうか。  廊下を進んで、俺と春臣はダイニングに行く。四人掛けの大きめのテーブルに、俺と春臣さんは向かい合って座った。 「これを」と一枚の紙きれを渡された。 「移籍の契約書?」  俺は書類をさらっと読むと顔をあげた。 「YUZUKIをこちら側へ。そうすれば、彼を開放する。柚希のマネージャーとしてサインしてもらおうか」 「できない」  俺は首を振った。マネージャーとしてなら、大舞台に羽ばたける柚希を見たいから、サインすることも検討したかもしれない。  俺個人の意見も入れたら、渡したくない。柚希が歌う曲を作りたい。柚希に歌ってもらいたいんだ。  柚希に傍にいてほしい。柚希と一緒にいたい。 「なら解放はしない」 「知りたいことならすべて話す」 「長瀬に黙って?」 「許可は得てきた」  くくくっと春臣が喉を鳴らして笑った。
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