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 ようやく到着した新幹線にぞろぞろと乗って邪魔にならないように素早く席に座る。奏と龍司は隣同士となったが、奏は大きい荷物を上に載せるなり目を閉じてそのまま眠ってしまった。  何かきっかけとなって話せないかと考えていた龍司はその早さに驚きつつも、奏なら仕方がないと諦めて同じように目を閉じた。  奏がようやく意識をしっかりさせて起きたのは、目的地へ到着する案内が流れているときだった。ずっと起きていた部員も出していた荷物をしまい始め、すぐに降りられる準備をしている。  同じように奏も荷物を動かしていると、龍司がようやく目を覚ました。しかし、気付いていても特に話し掛けることはなかった。  目的地に到着し、皆は必要最低限の荷物だけ持ってそれ以外は駅のロッカーに預けた。ようやくいつもの調子を取り戻した奏は、龍司以外の他の部員を巻き込みながら撮影に励んでいた。  龍司も龍司でたまに部員をこっそり撮り、見つかって怒られる場面もあったが、奏のことを遠目から撮っても近付くことはなかった。
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