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第42話
腰骨が砕かれたように疼き、帝と絡ませた指に力が入る。
根元まで帝の熱い口内に呑み込まれ、佐理のそれが啜り泣く。亀頭を舌でなぶられ、溢れそうになる涙を吸われる。
それでは足りないとばかりに、舌は鈴口を突いてもっと泣けと催促してくる。裏筋を吸われながら舐めあげられ、先端をぐるりと一周して一気に下降する。
頬の裏側に擦り付けられ、快感に連れ去られそうになると甘噛みをされて引き戻される。
逃げたくとも、どこにも逃げることのできない佐理の中心は快楽の拷問に涙の滴を垂らし続ける。
声にならない声が空気を震わせた。
そしてそれがついにやってくる。
「みかど……、もうっ……、離し……」
呼吸が一気に浅く速くなり、帝から逃れようと身体をねじる。
が、帝はそれを許さず、逆に促すように刺激を増してくる。一番敏感な部分を規則正しく責め立てられ、絡めた帝の指に爪を立てた。
このままでは、もうっ……。
そう思った瞬間、佐理は帝の口内で弾けた。
ドクン、ドクン、と脈打ち放たれた白濁が喉の奥に呑み込まれていく。
腰が小刻みに震える。帝はすぐに解放してはくれず、佐理の最後の一滴を絞り出すかのように吸ってきた。
自分の荒い呼吸が耳の奥でうるさい。
身体を動かせるようになるまで、一時(ひととき)を要した。
白く霞んでいた視界が元に戻ってくると、佐理を見下ろす帝の優しい視線と目が合った。
「帝……、私も帝のを」
佐理がよろよろと起き上がると、帝はそのまま佐理をうつ伏せに寝かせた。
「帝?」
「少し足を開いて腰をあげて」
帝は佐理の腰をすくい上げる。
仰向けに寝ていた時は隠れて見えなかった佐理の窄まりが露わになる。柔らかな佐理の白桃を帝は押し広げた。
「み、帝、恥ずかしいです」
「そうだな、恥ずかしい格好だな、佐理」
帝の息がそこのすぐそばに熱いと思った瞬間、窄まりが温かく濡れる。
「あっ、だめです、そんなことっ」
がっつりと掴まれた白桃はびくとも動かせず、中心がぬるぬるといたぶられる。
先ほど佐理の鈴口を突いていた舌先が、今度は菊口を突く。何度も逃げる腰を引き戻され、舌先が窄まりを押し広げてくる。
それは、うねうねとかき分け進んできた。初めて経験するその感覚に佐理は狼狽える。
ふと、刺激から解放される。佐理の白桃を押さえていた帝の手も離れ、カタリと小さな物音がした。
恐る恐るのぞき込むと、帝が指にとろりとした蜜をつけているのが見えた。それが何をするものなのか、知識としては十分にあった佐理は、大人しくそのまま次を待った。
案の定、ぬるりとした指先が窄まりに蜜を塗りつける。さらに蜜を足され滑りの良くなったそこで指は円を描く。
先の侵入者が開拓していた深さまで、指は簡単に入り込んできた。
そしてまた蜜が足され、今度はもっと奥へと塗り込んでくる。それを繰り返される。
「佐理、気持ち悪くはないか?」
「だ、大丈夫です」
本当は異物感でいっぱいだった。ぎゅっと握った手に力が入る。
一本の指が十分に奥まで差し込まれると、ゆっくりと抜き差しを始める。それに慣れると、再び蜜が足され、二本の指が差し入れられる。
気づかないうちに下がってくる腰を、再び高い位置に突き上げさせられる。淫らな音を立てながら、佐理の菊口が帝の指で押し広げられていく。
二本の指の存在に慣れはしてくるが違物感が消えることはない。
「佐理、もう一本入れても大丈夫か?」
佐理は無言でうなずいた。
奥歯を噛み締め、三本目を受け入れる。
帝は三本の指を揺らしたり、波うたせたりしながら中を緩めていく。内ももを蜜が滴り落ちるほどたっぷりと塗り込められ、指が動く度に自分の身体から発せられているとは思えない卑猥な音が響く。
「帝、もう……」
「まだダメだ、佐理を傷つけたくない」
帝は丁寧に時間をかけて佐理の窄まりをほぐしていった。
そうしてようやく、帝の指が佐理の中から離れる。
「佐理……」
帝の声で、褥に押し付けていた頭を持ち上げると身体を起こした。
足の間がぬるぬるとして気持ち悪い。
帝が小葵(こあおい)の直衣、衣、単衣を、一気に脱ぎ去ると、張りのある筋肉に覆われた逞しい身体が現れた。
帝のどちらかというと甘い顔立ちと、身体の雄々しさがアンバランスで、けれどそれがかえって男らしい妖艶さを増していた。
普段はどうしても帝の知的な部分に目がいってしまいがちになるが、帝は弓術を含めた武術にも熟達していた。桜の花びらと的の中心を同時に射てしまえるほどである。
和歌や学問では帝と対等に渡り合える佐理だったが、身体を動かすのはあまり得意ではない。
それだけに、同じ男でも佐理にはない広い肩幅に筋肉ののった厚い胸板を前に、佐理は自分の薄い身体が恥ずかしくなる。
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