赤い日記に書き記されていた或る華族のロマンチズムを見届けて、遂には鳥肌を覚えました
ます、昭和の旧家の書斎にあった日記というレトロかつミステリーな空気感で物語が始まる事が、個人的に萌えツボでワクワクしてしまいました。日記の日付が進むごとに大正時代の華族に起こった“主人と使用人との秘め事”が赤裸々になっていく。話は常に落ち着いた品性による静けさがあり、身分差に加えて同性であることの切なさが丁寧に語られています。なのに肌を重ねるシーンはボヤかされる事なくエロい。またこの時代の萌え小道具(と私が勝手に思っている)睡眠薬がどう関わってくるのかと、ハラハラしました。短編とは思えない濃縮な内容も素晴らしいのですが、冒頭シーンで聞かされた驚愕のエピソードが、物語を読み終わった読者へ更なるロマンに胸をときめかせる仕掛けとなっていた事に震えました。