そろそろ国語の教科書に載るんじゃないだろうか
きぬさんの丁寧な丁寧な描写力にはいつもため息が出る。
夏の肌に纏わりつく湿った潮風から、不安と期待が入り交じる眼差しの先にある伏せた長い睫毛まで。
磯の香りと穏やかな田舎町の匂いまでもが漂ってきそうだ。
もうなんだこの描写は。
そろそろ中学生あたりの国語の教科書に載ってもいいのではないだろうか。
そしてこの五感に溶け込むような透という人物の雰囲気。
引き込まれるわ〜。
夏の匂いと一緒に漂う恋心がまた切なく読み手の心にスッと染み込んでくる。
それはいつしか共感を超え、私自身も体験したことがあるような錯覚さえさせる。
「好き」のたった二文字をこんな風に文章で表現する面白さを最後の最後まで堪能できた作品でした。