甘酸っぱい青春が胸を擽る。
音、色、匂い、実際に自分がその場にいる様な錯覚に陥ってしまう。 言葉の表現力が豊かで感心しきりです。 青木君の捲し立てる様な口調と疑問符の連続。口数が多かったのは、彼の本来の性格からきているだけで無く、告白を前にして緊張していたのでしょう。 告白を断られた時のおちゃらけた反応も、青木君なりの気遣いだった様な気がします。 ラストでは、大人になった彼等の関係性や幸せな様子が短い文章の中できちんと描かれており、読者の思いを汲み取ってくれています。 梅雨時期が訪れる度に、あの日見たハート型の紫陽花思い出す。彼の想いは叶わなかったけれど、僕の心の中で大切な思い出として根付いた。梅雨時期にも関わらず、青木君の未来を示唆する、雨上がりの晴れやかな情景が、浮かんで来ました。 失恋=切ない になってしまいがちですが、読み終えた後に心がほっこりし、甘酸っぱい青春が胸を擽る物語です。