綺麗な雨から切ない雨、最後には優しい雨に変わる作品
最初から最後まで物語全体に雨の描写があり、主人公の年齢や置かれている立場から雨のイメージが読者の中でどんどん変化していき、最後は優しい雨に包まれるような幸せな読後感でした。
梅雨のじめじめとした描写が主人公の心情にとてもマッチしていて、いつの間にか大人になってしまった切なさや、決まったレールを敷かれている将来への絶望に拍車が掛かっていて、思わず胸が締め付けられます。
そんな主人公に想いを寄せる同僚の存在が、まるで梅雨の合間にのぞく太陽のような存在で、思わず拝みたくなります。
梅雨コンテストにふさわしい、とても素敵な作品でした。