梅雨がなければ出会わなかった大人ならではの恋愛小説
梅雨の時だけ、コインランドリーに現れる気になる人。 彼が訪れるパターンをつかんだりして、努力を惜しまない主人公がいじらしい。 二年目のやり取りが、言葉をかわすことなく静かで穏やかに時間が流れていく。 実家からの電話で、この土地から離れることになってしまい、彼への恋心に気づいた主人公は、次に読むだろうマンガにラブレターをしのばせる。 おぉ純文学。 一年後の梅雨の頃、再びコインランドリーを訪れた主人公。 結末は、どうかご拝読して下さい。 会話文は一切ないが、そんなものは必要ないんです。 読み手を惹き付ける作者さまの力量が凄いです。 考え抜かれた構成と技法と主人公の心理描写に、ただただ脱帽です。 雨の描写が、漂う雰囲気が、大人な二人をやさしく見守るように描かれている作品です。 素敵な作品を読ませて頂き本当にありがとうございました。