究極の相互依存が行き着く境地の物語
初めは僕がゲシュタルト崩壊だ、と思いどの僕が僕なのかを理解したいという気持ちで読み始めました。
しかし読み進めていくうちに「どっちもどっちであり、それは他人が理解できないのだ」と納得しました(理解は出来ない)(そこがいいのです)
見分けてはいけないし、同じにしてもいけない。
他人が存在しているだけで彼らを傷つけているのかもしれないと、なんだか作中のモブになった気持ちです(入り込みすぎ)
壱太郎くんが言っていた、僕らはもう散々傷つき続けたという言葉……そこに全てがあるように思いました。
壱太郎くんの思いはずっと一太郎くんへだけ向き、シリアスな思いだけでなく喜怒哀楽全てのトリガーが一太郎くんであり、寸分の狂いなく針の穴のようなそこ一点にひたむいている。
なんと美しいことか……! と思っていました。
が!(ガタンッ)
途中から流れが変わって匂い立つようなヘタノヨさんムードが立ち込めます!(実況かな?)
正しい方法を提案していたはずの壱太郎くんは、唯一の選んでは行けない選択肢を選び、一太郎くんの問答を経てストーリーの糸が形になりました。
一太郎くんが異常に怯えていた理由。挙動。
そして怒り。唯一無二の理解者が自分を理解していないこと。
壱太郎くんと共に〝僕〟が誰なのかを理解した時の幸福感!(誰目線なのか)
是非!是非味わっていただきたい!
究極に相互依存に陥る二人の存在証明とは、と言われたら、私はこの作品を人にすすめます。
素敵な作品をありがとうございました!
PS.個人的には壱太郎くんがちょこちょこ髪質選手権やら言ってくれるのが好きなのと、一太郎くんのギャップ、壱太郎くんのギャン泣きが萌えました(サムズアップ)
木樫