心を貰えなかった桃太郎と心が豊かな鬼の頭領が一歩歩み寄る物語
初めはタイトルからほのぼのかな?と思っていた木樫ですが、開いてみると氷河期レベルの殺伐さ。 しかしそれも間もなく、憎い相手にも関わらず頭領の人の良さが滲み出てきたことで、彼の複雑な心境がよくわかりました(涙)(しかし好きです)(ギンギラギンにさりげないビジュアルなのにいい人な頭領です)(好きです) そして桃ちゃん(人のキャラクターに勝手なあだ名をつける蛮族読者)のネジとネジ穴が噛み合わないまま無理くりしめたような、見た目はしまっているけれどその実歪んだ気性は、控えめに言って性癖です。 悪気がないというより、善悪がない……しかし善を頭領に置き換えることで、彼を悲しませる、困らせることを悪として、自分の行動を律する……! 解釈違いだとすみません! しかしその壊心の無垢がたまらなくジャストヒットしました。最高です。スタンディングオベーション不可避。全木樫が拍手喝采。 島民が桃ちゃんを襲った時、自分の身より頭領の言いつけを守って我慢した桃ちゃんに尊さが止まりませぬ(いと止まりませぬ) 頭領の、普通の人間の感情は複雑で、私達読者からすると「そりゃ頭領悲しむし怒るしモダモダするやで!」ってことが、桃ちゃんには本当にわからないのでしょう(涙なのですが好きですそういう子) そんな桃ちゃんですから、手前勝手ながら頭領には恋をしているというより、依存や希望に近い感情を感じました。 そして頭領もまた、放っておけない、なぜだか離したくない、そんな確固たる確信のない感情を自覚しただけのように思います……! 未だ憎しみを抱いているだろう島民のことや、お互いが今後それらの感情を昇華して恋慕い合えるのか、今後の展開が非常に気になる作品でした。 ヘタノヨさんの書くキャラは、そのキャラ個人だけがわかるというか、キャラだけのルールや芯を持っている気がします。そこが大好きです。 これからも応援しています。 素敵な作品、ありがとうございました! 追伸・続編、待ってますね!(チラッチラッ) 木樫