心に、残るもの。
「死」という要素が入ると暗くなりがちだが、この短編は夕暮れのような暖かな光に包まれている。 キタグニは誰かを見つけて消えるのか、まだ誰かを探し求めるのか、僕が彼に追い付くのか。僕が誰かを見つけた時にキタグニは消えるのか、永遠の幻なのか。いくつもの答えがありますが、きっと「キタグニ時間」は速くて、彼に追い付くのは無理だけれど、彼は永遠に僕の中に生き続けるのだと思いました。 ひとつだけ!大変恐縮であるのですがラストの一文「なんて言ったって」が「なんといっても」の方が、文章にこだわる斐坂さんらしいかな、と思えます。私の勝手な感想ですが、テンポのいい文章なのでラストが少しだけ気になりました。 大変よい短編を読ませていただきました。心に残るものをいただいて、ありがとうございました。