殻を破る物語
母だった存在に囚われ続けた青年が彼を心底求める青年の手によって解放されるお話だと思いました。 主人公のパートナーである栄は生育環境と彼自身が産まれながらに持つ能力の為に、親が早々に離れていってしまった青年。 それに対して主人公は暗い過去を持つが故に母との思い出に縛られ母を拠り所にしている青年。 2人の寂しい青年が惹かれ合い求め合うのは必然かなと思いました。たぶんこの先の2人には2人以外の存在は必要ないのだろうなぁと思います。 視点は主人公の青年のもののみでしたが、私自身が母親という立場をもっているからか、母視点で感情移入してこの物語を読みました。私がこの青年の母ならば、寂しくて悲しいけれど、この結末を祝福すると思いました。願わくば幸薄すぎた2人が生を全うする最後の日まで仲良く幸せであるように。 2人を2人ともをまとめて抱きしめてあげたかった。 そんな気持ちになるお話でした。 めっちゃ泣いた……。