作者として読者としてワンポイントキルされた物語
本当に、メバチ先生は一ページで私の心臓を握りつぶすのが、とてもお上手ですね(墓の中)
(真面目木樫ですがお気になさらずよ!)
短い作品にレビューを投下するのは是非が別れると思いつつ、星五つが付けたくて投下します。
(改訂版から読んでしまったので、そちらへのレビュー)
翼が生えたように走る呼子くん。
それを応援していた佐賀野さん。
一見して呼子くんの足を潰した佐賀野さんが狂気を孕んでいるのかと思いきや、呼子くんのにじみ出る愛の深さ。
「翼があったらどっかいっちゃうからもいじゃえ」と言う佐賀野さん。
それをふまえ、走れた頃の記憶を「悪夢」という呼子くん。
ずっと泣いていた佐賀野さんが笑ったのは、死のうと言った時。
佐賀野さんをおかしくしたのは呼子くんならば、伝染する狂気の始まりはどちらから? という夢がひろがリングする世界に胸どきが止まりませんでした。
一言一言に意味があり、一文を読むと世界が一文広がる。
そんな書き方と力に感服です。
改訂前と今で文章の順序が違うと思うのですが、これは順序が違うとまったく攻撃力が違うなと思いました(ディスりではないのです許してクレメンス土下座マン)
佐賀野さんが翼があるから離れる不安を話すあのブロックは、初めにあってこそ呼子くんに宿る狂気が際立つと感じます。
呼子くんは佐賀野さんのその言葉があって〝悪夢〟と称したのか、それとも元々からそう思っていたのか、やはり広がっていくメバチ先生ワールド(恍惚)
そしてこのワールドの文章を考えて書いてないような、なんというか本能で作られていく世界観がたまらんです(小説の設定を作り込むために資料調べるとかそういう〝考える〟じゃなくて、下心的な)
毎度の事ながら……根っこにある文章力を装備して、好きなところに好きなように弾を飛ばす先生ですが、当たったところが木樫の心臓でしたという殺され方です。
素敵な作品をありがとうございました!
木樫