ただ少し読もうと思っただけなのに気がついたらレビュー書いてた物語
現在未完結ですが、作者さんへこれからの活力に少しでもなればということと、多くの人に目に留めて頂きたく、ネタバレのないようにレビューをします!
お話は留学生であるレオくんと、声の出せない浅見くんの二人が、雪の積もった朝の校庭で目が合ったところから始まります。
雪の上に文字を書いて、ひらがなだけの筆談。
二人の距離は縮まり始め、日常へ。
心が澄んでいく高校生モノで、ほのぼのとした穏やかな日常。
美しい言葉と表現が浅見くんの幼い情緒により、読みやすく仕上がり、テンポもよくて、スルリと脳に入ってきます。
身構えないで、数ページ読んでみたら、私は気づけば未完結だったというのに40話まで読んでいました(びっくらこいた)
ところどころにコメディ要素も交えつつ作品の雰囲気を壊さない。全体のまとまりが美しい。カエデワールド全開です! なので是非!(必死)
個人的な意見だと、雪だるまが増えていて仲間を呼んだだとか、雪うさぎには自信があるだとか、表現がいちいちかわいい。
箇条書きのような感情表現の脳内もすこぶるかわいい。
間延びした言葉のカタカナを「ー」じゃなく「オ」で表現する(ストオブとかコオティングとか)もかわいい。
そんな彼だからこそ、レオくんを〝左の方から来た〟と表現するのが納得でした。作品の一行紹介を見て「どこや!?」となった木樫ですが、むしろ一貫していて素敵です。
レオくんも異国の人らしく直接的な言葉や愛情表現があって、浅見くんが言葉を話せないぶん伝える感情の量がちょうどよくて、和んでしまいました。
悲しいことがあると誰しも落ち込んでしまう。俯いて後ろを見るでしょう。
しかし一世一代、奮い立つ浅見くんは頑張る決心を振り絞る。最高です。あまりに尊い。
そしてサブキャラたちもいい味がある。もうネタバレになるのでいいませんが、とにかく最高でした。
楓先生が書かれるお話はいつも香りと空気を感じるのですが、雪どけの朝に、では音を感じました。
浅見くんが動くたび、コロンコロンと白い雪玉がスキップしているように思いました。雪玉なのでうまくバウンドできないでポテポテしているのですがそれもかわいい。そしてそれすら表現されている(私はなにを言っているんだ?)
そんな素敵な作品。
良い時間をありがとうございました!
木樫