作者さんの全技術と胸キュンと感動を感じる物語
一万文字だけ読もうとしたら読了してました。レビュー書きます/// 物語はまず〝死後生命保険〟という、保険としてどうなってるんだをキーにして始まりました。 主人公である山ちゃんが死することでリビングデッドという他種族に変貌し、生まれつき雪男である受けさん・マナキ先生と出会います。 なんと言っても硬派で天然気味な山ちゃんが可愛いッ!(口癖が「ム…」はい可愛い) 過去に他種族と差別しない山ちゃんに声をかけてもらったことで彼に好感を抱いていたマナキ先生から滲み出る片想いオーラと、それに気づかない山ちゃんが可愛すぎて胸きゅん! 前半たっぷり使ってほのぼの恋愛要素を書かれていたために主要二人への愛着が湧き、後半の胸の痛くなるシリアスにも耐えられたので素晴らしい構成だったと万歳三唱であります(敬礼) 山ちゃんが同僚に好かれていたことを序盤で書いてから、他種族になることでその周囲の変化を物語る技術。 仲間思いで不器用でぬぼーっとした彼がそれによって傷つき、我慢し、「マナキ先生だけには」と思っていたところ、ネガティブ思考が思い込みと勘違いを発動。 他種族であるマナキ先生を否定することは、今の自分を否定することです。 生まれつきそうであるマナキ先生はその痛みがわかるからこそ、彼の八つ当たりを〝攻撃〟ではなく〝防御〟のように認識したのではと感じました。 そんな二人が互いを気遣い合い迎えたハッピーエンドに感涙必死です! ファンタジーと聞くと魔法・人外・中世ヨーロッパのような世界、いわゆるハリーポッターな世界観を想像しますが、現代をバリバリ感じる保険入り。 世界観が斬新で物語の入りも「死後ってどういうこと?」と、山ちゃんと同じ気持ちから入れるので、作品へ馴染みやすくスルリと溶け込めました! ヘタノヨさんは「ファンタジーが苦手」と言っていましたが、だからこそどこかで見たような作品から一線を画した設定をぶち込んで来るので、とても好きです(恍惚) 作中描かれる山ちゃんの心情の変化や起伏が、なんといいますか小説のキャラというより現実の人に近いくらいドキュメンタリーにえがかれていて、相変わらず絶妙に苦悩させるのがうまいな、と感服致しました! そして端的に文字数がないのでお暇します(スンッ) もう嫌だ制限。 素敵な作品をありがとうございました! 木樫