原石が磨かれ宝石へと変わる尊い物語
須藤さん初の洋風作品! これは貴重、是非とも一読! という気持ちで拝読致しました。
読み終えたのは少し前なのですが、まとめるための脳みそが最近復活したのでレビュー書きます(暑苦しいです)
タグの連ドラ風のとおり、冒頭から過去回想の出会いで始まりました。
捨て子であるセラくんをルカくんが天使と表現することで、タイトルの王子と天使を揃わせる。
ドラマというのは泣いても笑っても一話で次週! 一話で読者を掴まなければならないその魅せ方をよく理解し、経験による無意識だと思いますが作者さんの構成力を感じました(敬礼)
そしてセラくんの両親が、これから先立つものも必要だろうに唯一の金品を出産費用に差し出したこと。
断腸の思いでセラくんを手放したこと。
両親の愛を感じる、切なくも尊いシーン!
私はその数分で、不憫さや虐げられるだけの不遇な物語ではないのだろうな、と作者さんの作品への愛を感じ、引き込まれてしまいました(本当にそういう両面を魅せてくるところが大好きです)
場面は成長後へ。
過保護故にセラくんに厳しくしてしまうツンなルカさんと、ツンに不貞腐れてしまいながらもルカさんを慕ってやまないセラくん。
ルカさん目線で進んでいく物語は、微笑ましいやら甘いやら楽しいやら、様々な感情があり見所満載!
そうでありながらも隣国の王子の介入により、謎めくセラくんのルーツや、国同士の問題が明らかになってきて、ルカさんがセラくん発見して連れ帰った時は安心しました(ほんとめっちゃドキドキしたやで)
二人の間に問題を混ぜることで作品に深みがあるのにも関わらず、必要以上にフォーカスしないことで本題である〝ボーイズラブ〟を置き去りにしない。
最も大切なラブを忘れないところは須藤さんの不動の持ち味で、非常に尊敬するところでした!
そして物語は終局。
セラくんを泣く泣く手放すことになった両親が、本当にセラくんを愛していたその愛に感動です。
両親が手にした宝石を指輪にして、ルカセラの愛を形作る。セラくんへの愛がこうして繋がる。
まさに尊さの極み! 結婚不可避。
読者としても作者としても楽しめて勉強にもなる、素晴らしい作品でした。
ありがとうございました!
木樫