見守りたくなります
麦茶ひとつの描写でもすごく丁寧に書かれており、小物のひとつひとつ細部まで想像することができます。 直接的な人物描写だけではなく、こうしたキャラクターの存在している空間の温度や空気、もの、そういった小道具からもキャラクターの性格やクセなどを察することができ、すごく小説的でした。書店に並んでいてもおかしくないほどです! ユキトくんの育ってきた環境、生い立ち、心の葛藤や諦め、それを取り巻く人々の心の機微が明かされる物語後半は、読みながら胸が一杯になりました。 分からないものを分からないままにせず、父親も父親なりに理解しようとし、先生に大切なユキトくんを任せたんだろうなぁ……と想像し、二人の先行きにしあわせを感じました。 さっぱりとしつつも淫靡で、互いの隙間を少しずつ埋めていくような関係性にはひたすら萌えるばかりです。 いつか先生とふたりでまたユキトくんの家に行き、堂々と靴を脱いでほしいなと心から思いました。 この作品に出会い、そして二人を見守れてよかったです、ありがとうございます。