川劇のばけもののレビュー
諫花さんの作品はどれを読んでも、気が狂いそうになる。おかしくなりそうなくらい引きずり込まれる。 この「川劇のばけもの」も、密な文章で不思議な空気に満ちた世界を立ち上がらせてくれた。人生を疎んだ主人公と謎の変面師。二人のごくうっすらとしたつながりが、変面師に桃色の面見せられたところで結ばれたように感じた。読んでいるこちらもぎゅっと胸をつかまれる。 さびれかけた薄暗い町が赤光に照らされるとき二人がどんな世界に行ったのでしょうか…。