ほろ苦い、大人の恋
大人はしがらみも背負うものもたくさんある。ある程度、社会的に地位があればなおさら。
面倒くさいですね。男は特に面倒くさい。
自尊心やら猜疑心やら嫉妬心その他の感情もごったごたになってがんじ絡め。
屈折しているのではなく、単純に素直じゃないの。
イライラするような、応援したくなるような。
主人公にそんな感情を寄せるあたり、わたしもオバサンだわね。
大人のための、大人の小説です。
会話だけで進行しない。あんあん言ってるだけじゃない。
しっかりと地があり、丁寧に文章とストーリーを組み立てているきちんとした“小説”。
エンドは少々苦く、ハッピーエンドと呼べるものではないけれど、ほんのり未来が見える気がします。
絢葉が真希を見つめる日が来ることを、檻から出ることを、二人が手を取って共に歩き出すことを願わずにいられません。
久我さん、いいな。好きだわ。