糖度が高い大人のラブストーリー
身辺調査を主な仕事としている葉山航平は対象となる藤堂隼人に近づくため、素性を隠し、会員制の限られた者しか参加できないパーティに潜入します。 仕事に徹するつもりの航平でしたが、隼人と逢瀬を重ねていくにつれ、理性ではどうにもならない気持ちが芽生えていきます。困惑と葛藤を経て愛を自覚する。 まさに恋愛ならではの醍醐味。 隼人の最初の印象は駆け引きを心得ている恋愛上手な男でしたが、読み進めていくうちに彼への印象が変わっていきます。航平に恋人がいるのか探りをいれたり、挨拶代わりにしていたキスをしなかったり、言葉や行動の端々に不器用さと必死さが垣間見えて愛しく感じました。 思いがけない再会で始まる新たな関係。 情緒を表す夜想曲であり、静かな曲調のゆったりとしたメロディが特徴のノクターンは、再会までの序章を表しているように思えました。 成熟した二人が再び出逢い『幸せ』を意味するシャンパーニュを共に口にする。 タイトルに二つの意味を含ませた作者の発想力には、ただただ感服するばかりです。 不器用で糖度が高い大人のラブストーリーを、皆さまにも身悶えしながら味わっていただきたい。