僕達の箱庭のレビュー
あーちゃん 様 『3万字までジャンルを問わずレビューをさせていただきます』からきました!  まずは企画へご応募頂きありがとうございます。  そして素敵な作品とその作者様との出会いに感謝致します。 主人公の永遠(α)は入院がきっかけとなり、癒しとなる存在、中庭の天使こと如月海音(Ω)に出会う。海音は兄の方で永遠より二つ上になる。弟の陸也(Ω)は永遠と同じ高校に通う後輩。この3人が織りなす物語を巧みな心情描写で丁寧に描かれている。兄の病気は完治が難しく弟のドナーに助けらて生きている。繰り返し手術をすることで死を免れるが、それはひと時で何度となくドナーである弟の存在が必要となる。3人が各々に葛藤し相手を思い遣りながらの展開に、読者はどうなるのだろうとやるせない思いになりながらも応援しないではいられない。弟の存在がドナーベビーというのは、なんと重いテーマを扱った作品なのだろう。完治しないことを自覚した兄は弟をこれ以上傷つけたくないという思い、弟は兄を救いたいという思い、2人の兄弟の想いを知る永遠の3人の今後の展開に目が離せない。またタイトルに『僕たちの箱庭』とあるが、テーマの選び方やタイトルを据え方が上手い。オメガバースとしての展開も気なるところだ。