ホワイトローズにくちづけをのレビュー
ジェラルドの年齢設定が性格に反映されていない。親子ほど年齢差があるのジェラルドとレオネの違いは話し方などでもっと出してほしい。
レオネがなぜ老若男女モテるのかという要素を説明ではなく、行動で示した方が説得力がある。本文ではレオネの魅力があまり伝わって来なかった。
ロランドがなぜレオネが好きなのか、容姿以外に何に惹かれているのか、二人の仲が深まるエピソードがあるとよかった。
レオネとジェラルドの婚約沙汰は上手く話が拗れていて面白かった。二人のすれ違いは人間的で自然だった。レオネとジェラルドの最初の出会いも伏線になっているのもとても良い。
ジルベルタのキャラがブレている。強気のキャラなら強気を貫いてほしかった。
物語の中心はレオネとジェラルドの婚約に関するいざこざだが、その他の伯爵やバラルディ商会の仕事内容もよく考えられていて面白い。本格的である上に、読者が理解しやすいような説明描写にこじつけ的違和感がない。特に32話の提案は特に良かった。レオネらしさを出しつつ、かつ互いに利益のある現実的なもので物語としては見事だった。異世界恋愛ジャンルの枠に囚われず、しっかり仕事のある日常を描けているのに感銘を受けた。
ウーゴとドナートの違いを立場以外に性格などで明確にしてほしい。似ているので時々混乱する。
汽車内で会った老婆の話がジェラルドが倒れた際のレオネの心情に生きていた。無駄と隙のない話の流れでとても良い。
35話では題名通り薔薇を中心に据えつつ、レオネとジェラルドの関係性をロマンチックに描いていて素晴らしかった。そこに流されず、ジャンに邪魔されるというコミカルな展開で二人の恋の成就を先伸ばしに焦らしているのも非常に良かった。
36、37話にかけてジャンの気味悪さが見事に表現されていて良かった。伏線の張りも素晴らしい。ジェラルド自身がしっかりジャンに罰を与えているのもスカッとした。
46話のレオネに対する考察が興味深かった。ソニアの口から話すことで説得力が増し、他人視点でレオネとジェラルドの恋仲を語ることでより深みも増した。
ロランドがメイドのソニアと結婚した展開は、ジェラルドとエレナの結婚関係と重なっていて大変面白い。