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第72話
春side
夕くんにも分かり易いように、噛み砕いて話してあげないと、理解してくれないんだろうな…彼の精神年齢は幼すぎて…、分からないことがいっぱいあるんだ…。
「さて、何から話そうか…。今まで、内緒にしていたことがいっぱいあるんだ……。まず、君の精神年齢…」
「せいしん、ねんれぇ…?」
「そう…精神年齢。夕くんの心の年齢だよ。夕くんの心は10歳くらいで止まってるの…。辛いこと沢山、沢山あったから、もう無理ってなっちゃたんだね…。よしよし…」
「うんうん…そうなの、いやなこと、いっぱいいっぱいあったの……」
泣き出しそうになっているから、夕くんを呼んで膝の上に向かい合わせで乗せてあげる。抱きしめながら、次の話をする。
「それでね、『辛いよー、苦しいよー』ってねなっちゃって、もう一人の人格が生まれちゃったの…。夕くんの弟みたいなものだよ。ヨルくんっていうの…。それでね、そのヨルくんが、夕くんと同じように陵樹と愛し合ってるんだよ分かるかな……」
「ぼくと、よるくん……いっしょ…?リョウさんのこと、すき…?」
「うん。そうだよ。もしね、ヨルくんが陵樹を嫌ったら、夕くんの体で違う人に好きって言っちゃうの…。陵樹に今、夕くんが感じてるみたいに嫌だなって思いをさせちゃうんだよ…」
「よるくんは、ぼくのために……リョウさん、すきって、したの…?」
今、夕くんの頭の中は混乱してると思う。それでも、今しなきゃいけないことをちゃんと理解しているはずだ…。
夕くんは色んなことを考えて考えて、ちゃんと理解して、それで、素直になれる子だから…。
「ううん、ヨルくんは、ヨルくん自身で陵樹のことを好きってしたの。だからね、夕くんも、自分の気持ちに素直になって、陵樹と仲良くして欲しいな…」
「……よるくん、りょうさん、すき…。ぼくもリョウさん、すき……なの…。でも、ぼく…、リョウさんにね…ひどいことしちゃったの…。ごめんなさい…してくるの……」
「うん。そうだね。一緒に行ってあげるから、今から謝りに行こっか」
「うん!」
これで、2人の仲は元どおりになるだろう…。
また夕くんから幸せな笑顔を見せてもらえるかな…。本当は、僕が幸せにしてあげたかったんだけどなぁ……。
ヨルは僕のことを兄の様にしか思えないと言ってたから、恋人になることは出来なかったんだこれは、死ぬまで僕とヨル…2人だけの秘密だ…
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