1 / 13

絶倫カレシ

「ん、あ、アキぃ…! や、もぉ、でないよぉ…!」 「ごめん、も、少し…」  平日の夕暮れ、3LDKのマンションの一室、ダブルベッドがギシギシと軋む。  軋む音は、男を組み敷く男のグラインドの速度に比例して速くなる。 「あ、あ、またぁ! イっちゃ…あ、だめぇ!」 「俺も、も…イくっ! あぁ…!」  ベッドに押し倒されている華奢な男のペニスからはもう透明で少量の体液しか出なかった。精液は全て出し切ったのだ。そしてアナルからもう1人の男の獰猛なペニスが引き抜かれて、入り口は限界を悟ったようにヒクヒクと痙攣した。引き抜かれたペニスにかぶせたコンドームにはたっぷりと精液が溜まっている。 「あうぅ…アキのばかぁ…」 「ごめんな、ケンジ…」 「んぅ…もう、動けないよぉ…」 「わかった…お風呂溜めてくるから、一緒に入ろうな」  アキと呼ばれた男は、ベッドでぐったりと仰向けになる男を愛おしそうに見つめ、優しく頬にキスをすれば、ベッドルームを出て行った。  1人取り残されたのは、小向(こむかい) 賢二郎(けんじろう)、周りからはケンジと呼ばれている至って普通の高校1年生男子。身長が低く筋肉がつきにくいとまるで女子のような躯体がコンプレックスだが顔は普通だったおかげで、漫画やドラマのように「乙女系男子」にはならない。  そしてケンジは3年前から恋人がいる。  今ケンジがいるこの部屋の住人でケンジとは生まれた時からずっと一緒にいる同じ年の幼馴染、須加尾(すがお) 顕孝(あきたか)、みんなはアキと呼んでいる。ケンジとは対照的で、中学時代はバレー部で、背も現在180cmからまだまだ成長中。顔は鼻筋も通っていて流し目、口の右下にあるホクロが妙な色気をそそる。そのせいなのか「歩くエロス」と揶揄されることもある。  中2の夏休み、ケンジはずっとアキに好意を抱いていたことを告白すると、その日のうちにアキに押し倒されてケンジは処女を卒業した。  中学時代はケンジもアキも部活をしていたのでなんだかんだで忙しく2人でゆっくりできる時間も限られていた。だからセックスの頻度も多くて月に1、2度、それでもアキに目一杯愛されるのでケンジは幸せだった。  そして高校に進学するとケンジもアキも部活に入らず、それと同時にアキの父が海外に3年赴任するとのことでアキの母は夫についていき、アキは独り暮らしになった。  こんな絶好のシチュエーションを満喫しない男子高校生はいない。ケンジは学校から1階下の自分の家でなくアキの家に帰宅し、その度にこうしてセックスをしている。  アキは優しくてかっこいい、何よりケンジを大切にしてくれている、愛してくれてる。  だがケンジはひとつだけ悩んでいた。 (優しいから…言いたくないけど………アキの奴…マジ絶倫すぎるんだよ!)  アキはセックスの度にコンドームを最低3枚は消費している。つまり最低でも3回は射精しないと終われない。しかしケンジはアキが1回射精する間に平均で3度は絶頂を迎える。アキが満足する頃にはケンジの精巣はからっからになり、情けなく水分だけが出てくるのだった。アナルが痛む日はスマタで何度も攻められる。  ケンジはアキとのセックスは大好きだ。だが体力の限界は感じていた。セックスはしたいけど、このままでは死んでしまうから止めて欲しい、そんな葛藤がケンジの中で生まれているのであった。 「ケンジ、お風呂入ろ。立てる?」 「無理ぃ…」  即答すると、全裸のアキはケンジを優しく姫抱きしてそのままバスルームに直行した。 「アキ…ごめんな………毎回、俺重いのに…」 「俺が手加減できないのが悪いから気にすんなって。それにケンジは軽いよ」  アキの手を煩わせているのことに申し訳なく謝れば、アキは優しく諭してキスをする。セックスの時の絶倫大魔王な時とのギャップが激しい。 (アキ…あったかくて、いい匂いするから…寝落ちそ…)  この微睡みもケンジは心地よくて、手放したくなくて「手加減して」や「回数減らして」などとなかなか言い出せずにいた。

ともだちにシェアしよう!