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第23話
あの飲み会の時と同じように、景は俺の頭を撫でながら髪を梳いて、毛先を指先で摘んだ。
(まっ、またや!この遊び人!)
また景の大きな掌が何度も行き来する。
唇をぐっと噛んで耐えていると、景は思わず吹き出して、綺麗に並んだ歯を見せて笑った。
「修介、似てるんだよね、実家で飼ってる犬に」
「はっ?」
「ポメラニアン。毛の色とか長さもちょうどこのくらいでさ。なんだか触りたくなっちゃう」 「ポッ?!」
だからこの間もこんな事をしていたのか。
確かに、犬みたいとか、タヌキ顔だよねなんてよく言われるけれど、まさかそんな小型犬に似てると言われるだなんて。
俺は咄嗟に体を捩ってその手から逃れた。
「もうっなんやねんっ!人の事からかわんといてよっ!」
「あ、やっと出た、関西弁!」
景は俺に指を指しながら、目を見開かせて驚いていた。
俺はコロコロ変わるその表情に心がついていけない。
「え?やっと出た……って?」
「翔平と話してる時に聞いてて、なんかいいなぁと思ってたんだ。使ってくれたって事は、僕の事まぁまぁ信用してくれたって事だよね?」
そういえば、意識して使わなかった訳じゃないけど、さっきは自然と出ていた。
まだこの人の事は知らない事だらけだけど、これからいい友達になれるのかな。そんな気はした。
「……景って、イケメンやけどちょっと変わっとるよね?」
「多少変わってないと、芸能人なんて勤まらないよ」
「そうなん?」
クスクスと笑い合った。
景はその後、俺の地元の事や、大学での事を色々と訊いてきた。
翔平みたいに活発な人と話してても楽しいけど、景と話してるとなんだか凄く落ち着いた。
波長が合うのかもしれない。
たまに会話が途切れてシンとなる瞬間もあるけど、なんだかそれさえも楽しめる。
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