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第1話
ガサガサと鞄に教科書、ノート、筆記用具を詰め込み、後ろの窓際の席へ向かう。
「まーさみ!」
俺の呼びかけに、顔を上げる同級生。
「さ、帰ろう!」
褐色の肌に少し癖のある茶髪。
しっかりとした目もとにスッと高い鼻。
一度だけ触れた、柔らかくバランスの良い唇がゆっくりと動く。
「うん、帰ろっか」
俺の心臓を鷲掴みにする笑顔で頷く同級生。
「雅実」
まさか叶うとは思わなかった。
「何?」
目の前にいる、
「呼んだだけ」
甘く微笑む綺麗な同級生が、
「なんだそれ」
俺の恋人になるなんて。
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