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竜二と七都芽 ―― 2 (編集済み)

 今まで七都芽がいた部屋はメゾネット型マンションの  中2階にあたる居室だったようで、   七都芽がらせん階段で階下のLDKに降りると、  竜二は既に出かける身支度を済ませていた。    七都芽が ”あれっ”と意外に思ったのは、  てっきり学生だと思っていた彼が学校の制服ではなく  サラリーマンが着るようなスーツ姿だったから。     「……もしかして、これから仕事?」    「もしかしなくても仕事だが」 「あ ―― あぁ、そうか。俺のせいで引き止めて  すまなかった」   「何ちゃあないって。じゃ、俺は仕事に出るけど、  ナツは好きな事してていいからな。夜は何か  外で旨いもんでも食おうぜ」      それは一瞬の出来事だった ――    七都芽の顔へググッと寄ってきた竜二は  七都芽がそうと気づく前に素早く真守の唇を奪った。    まるで映画のワンシーンみたいに……。    へ? 何? 今の……     「俺が戻るまでいい子にしてろよ」 「あ、あのぉーっ!」 「なんだ?」 「なんだ ―― って、見ず知らずの俺なんか1人に  しといていいのか? 金目のものかっさらって  逃げるかも」 「そうなったら人を見る目がなかったと諦めて  泣き寝入りするさ」  そう言って颯爽と出て行った。      (ほんとに変なヤツ……でも、    俺、夜までここにいていいのか?)   *****  *****  ***** 「いただきます」  我ながら図々しいとは思ったけど空腹には勝てず、  テーブルにセットされていた純和風の朝飯を綺麗に  平らげた後 ――     「ごちそうさまでした」    一応後片付けをして。    さぁて、これからどうしよう……    まだ名前も知らないイケメンなあいつは、  俺に夜まで待っていて欲しいみたいな口ぶりだったが  そうそう甘えてばかりもいられない。    前回までは自殺未遂をやらかす度に、  病院なんかの治療費がつき。  借金は減るどころか増える一方だった。  今回そうゆう事はなかったようでそれだけは  ホッとした。    でも、ほんの少しだけ”ひと休み”と、  ソファーに寝転がった。  天井にぼんやり視線を泳がせながら、  さっきまで一緒だったあのイケメンの顔を思い浮かべる。  絶対どこかで会ったような気がするのだが ――、  うーん ……  う~ん ……  ダメだぁ。  いくら頭をフル回転させても思い出せない。  ……ま、そのうち思い出すか。  こうゆう時は寝るに限る!

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