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第7話 -5
芸能コースの2人に、不良に、いつの間にか合流していたサッカー部の副部長。ただでさえ目立つ組み合わせでも、流石に誰かついてきたりすることはない。屋上まで行き、漸く静かな日常が戻ってきたように感じた。
屋上なんて来たことがなかったのであろう光が連れてきた優男はキョロキョロと見回している。光達を放置し隅の方に座ると、光はすぐに隣に座った。
「さと、今日お弁当じゃないの?」
「市倉の家、冷蔵庫も炊飯器もなかったからな。今日買いに行くらしい」
「そうなんだ。うー、さとの卵焼き食べたかったのに」
「え、あれ九条が作ってたんだ?」
驚いたような声に頷き、手を拭いてからサンドウィッチを取り出す。マスクをずり下げ口に含むが、何の味も感じなかった。
「さと、風邪酷くなってない?」
「熱は下がってる」
「でも喉ガラガラしてきてるし、やっぱお引越ししたから身体疲れちゃってるのかな?」
「……疲れの理由はそっちじゃないだろうけどな」
「……ごめんなさい」
直接は言及しないが、含みを持たせれば光は察したのか謝ってくる。自分の所為でもあるから詰りはしないが、熱がある時に体力を奪うことをしたのは事実だ。
わかっていないのか、優男は2人のやりとりに笑う。
「光、いっつも元気だからずっと一緒にいると確かに疲れちゃうよな」
「なんだよそれー。あ、そうださとがもう食べてるから忘れてた。九条悟志と、栂野優。さとは俺の幼馴染で、優は俺のお友達です。優、さとは色んなとこで不良とか狂犬とか言われてるけど可愛くて大人しいいい子だから怖がらないでね!」
「可愛くはないだろ」
栂野か、覚えた。悟志は光の言葉を否定しながらじっと優の顔を見つめる。この男が好きなのに、光は何故自分を抱いたのだろう。いまいち理由がわからない。
市倉は自分が命令として誘ったからで、時雨は好きだから。光は自分のことをただの幼馴染だとしか思っていないはずなのに、何故。
悩んでいると、優は困ったように笑った。
「そんなに見つめられると恥ずかしいかな」
「悪い」
「さと、だーめ。他の人は見ないで」
まるで犬に言うかのような口調で、光は自分の方を向かせる。されるがままに見下ろすと、光はぺろりと舌なめずりをした。
「そんな顔して、俺以外見ちゃ駄目だよ」
光の顔が近付いてくる。
駄目だ。悟志はそれが触れ合うのを手で防いだ。
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